保護猫カフェ“小豆沢の森”で初めて聞いた「ミルクボランティア」という言葉。
赤ちゃん猫に哺乳瓶でミルクをあげるから、ミルクボランティア……なんて単純な話ではなく、生後数日から数週間の小さな命を育むには、2、3時間おきの授乳だけでなく、排泄補助、温度管理など多岐にわたることが必要と知った。
慣れているボランティアさんでも、とても神経を使う赤ちゃん猫の飼育。もし、私みたいな猫暮らしの素人が、母猫とはぐれた赤ちゃん猫や子猫を見つけてしまった時はどうすればいいのか……。
子猫を見つけたらどうすればいい?
「外で生後間もない子猫を見つけてしまったら、すぐに保護した方がいいですか?」
「もし母猫が戻ってくるなら、少なくとも3週間から1か月は母猫に育ててもらうのが一番です。母乳には子猫が成長するのに必要な栄養や免疫を高める成分も入っていますし、母猫の育児には到底かないません。
ですが、2、3時間待っても母猫が戻ってこない場合は、育児放棄の可能性もあります。
乳飲み子はあっという間に低体温症になるので、保護する場合、体温が下がらないようにキャリーや段ボール箱に使い捨てカイロや湯たんぽを入れて、フリースなどで包んで温めてあげてください。
でも、真冬や雨に打たれているような状況だったら、すぐに保護しないと助からないと思います。体温が下がって冷たくなっていたら、ドライヤーなどでとにかく猫の体を温めます」
感染症リスクを最小に
「アイさん、保護したらすぐに動物病院に連れて行った方がいいんでしょうか?」
「普段から乳飲み子や地域猫を受け入れている病院があれば、すぐに連れて行って診てもらってください。ただ、状態の良い生後数日の乳飲み子にできることは、それほどありません。ノミダニの駆除薬が使えるサイズになるまでは、自宅でひたすら温めて、根気よく授乳と排泄をさせて育てるしかないと思います。自宅に猫がいる場合は、必ず隔離して、ノミダニやウイルスなどの感染リスクを回避してくださいね。隔離は、まだ何の抗体も持っていない乳飲み子を他の猫から守る意味もあります。それと、乳飲み子のお世話をする時は使い捨て手袋をするか、お世話後に徹底した手洗いを行ってくださいね」
「想像以上に大変そうです……。保護しても住宅事情などで飼えない場合はどうしたらいいでしょう?」
「私はいつも覚悟を持って保護をします。ペット不可の賃貸住宅に住んでいるなら引っ越すという手段もありますし、ペット可能な物件に住んでいる知り合いに協力してもらうという手段もあります。里親探しも本気でやれば誰でもできることです。保護団体などに丸投げする前に、どうしたらできるかを考えてみてほしいと思います。
里親募集はネットにもいいサイトがありますし、譲渡会に参加したり、動物病院などにポスターを貼らせてもらったりすることもできます」
「そうですよね。みんながどんどん子猫を持ち込んだら大変なことになってしまいますものね……」
「でも、保護した猫のために何とか頑張ろうとしている保護主さんへの協力は惜しみませんよ!」
猫のことに限らず、初めてのことや、突発的なことは、やりたい!という気持ちがあっても、ついできない理由を探してしまう。アイさんからこの話を聞く前の私が、もし、道端で子猫を拾ってしまったら……おそらく、できることを調べる前に、右往左往していたことだろう。
今、自分ができることを考えて行動する。当たり前のことだけど、改めてここで聞けてよかったと思った。
気になる三毛女子
「真穂さん、近々、ミルクボランティアさんのところを卒業する子猫がカフェデビューするんですけど、どの子もとてもかわいく成長しているので、真穂さんのパートナー候補が見つかるかも」
「うわー、本当ですか! 会えるのを楽しみにしています」
「はい、楽しみにしていてください!」
そう。ここに通い始めた頃、カフェデビューしたてのきょうだい子猫がいたが、破壊力バツグンのそのかわいさに、すでに全員、里親が決まっていた。
子猫軍団に会えるのも楽しみだが、最近とても気になる、三毛女子の視線。
相変わらず彼女との距離は縮まらないが……なんとなく、お互い気になる関係。
(※この物語は、実在する飼い主募集型保護猫カフェをモデルにしたフィクションです)
猫クイズ!(四つの選択肢から選んでください)
Q.猫が前足を握ったり開いたりする行為(ふみふみ)で間違っているのはどれ?
(1)授乳期にみせる行為のなごり
(2)足に炎症ができてかゆいから
(3)マーキング行為
(4)最大の愛情表現
A.(2)足に炎症ができてかゆいから
【解説】成猫も柔らかい毛布の上などで前足をふみふみすることがあります。これは子猫時代の授乳行為を思い出しているそうです。全ての猫がする行為ではありませんが、飼い主さんを親猫として認識することによっての愛情表現として現れているようです。
(ねこ検定公式ガイドブックより)
(Photo by 保護猫写真家ねこたろう/写真提供・協力 CAT’S INN TOKYO)
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