一緒に暮らす猫と出会うため、ペットショップを巡っては空振りを繰り返す私に、「保護猫も候補に入れてみたら?」と提案をしてくれたのは会社の同僚。
同僚のお姉さんが保護猫の里親になり、猫暮らしを楽しんでいるということで、私の猫暮らし計画にもとても協力的で、
「どう、運命の出会いはありそう?」
とランチで会うたびに聞いてくれた。
「ねぇ、お姉さんのお家ってマンションだよね?」
「うん、そうだよ」
「猫用トイレとか、キャットタワーとか、結構場所を取るものの設置が必要そうなんだけど、やっぱりいろいろ置いてあったりする?」
「あぁ、うん、置いてあるね。爪とぎがついた天井までのキャットタワーとか、猫用の丸いベッドとか、ボックスタイプのキャットハウスとか、姉の家に行くたびに猫様グッズが増えている気がする。でも、色を統一して、シンプルなデザインのものしか置いてないから、ごちゃごちゃしている感じはないよ」
「そうかぁ。やっぱりキャットタワーは必須か」
「部屋、ワンルームだっけ?」
「廊下はあるけどワンルームなんだよね。置けるかなぁ?」
「っていうか、まだ運命の出会い果たせてないんでしょ?」
「そうなんだけど……」
「ほんと心配性だよね」
そう、自分でも呆れるほどの心配性。石橋を叩き過ぎて、自ら破壊しちゃうタイプ。でも、そういう性分なので仕方がない。
待ちに待った土曜日。
開店と同時に保護猫カフェ“小豆沢の森”へ行くと、新たにカフェデビューした子猫が張り切ってミニタワーをのぼっていた。
「わぁ、この白黒ちゃんは新入りさんですか?」
「そうなんです。先日近くで保護された珠三郎ちゃんです。保護された時はお母さん猫と一緒だったんですけど、子猫たちはみんな『猫風邪』がひどかったので隔離して病院に通い、ようやくカフェデビューできたところです」
「お母さん猫はどこへ行ったんですか?」
「避妊手術をして、また元にいたところに戻しました」
まだこんなに小さいのにドラマチックな「猫生」を送っているんだね……としみじみ思いつつ、いつもなでさせてくれる茶トラさんの方へ向かうと、
「こんにちは!」
と、店長のアイさんがスタッフルームから顔を出し、白黒ちゃんと同じくらいの大きさの子猫を抱いて出てきた。
「この子も新入りさんですか?」
「そうなの、かわいいでしょ」
そう言いながら足元の猫ベッドに下ろすと、すかさず白黒ちゃんが駆けつけてきた。
「か、かわいすぎる」
「かわいいんだけど、やんちゃ度がピーク!」
キャットタワーは必需品?
「あぁ、なんかリアルに想像ができます……。さっき白黒ちゃんが小さいキャットタワーにのぼって遊んでいたんですけど、猫にとっての快適空間にキャットタワーは必需品ですよね?」
「そうですね。猫目線で快適に暮らせる住環境を考えてあげることが健康維持には大切です。猫は犬のような散歩は不要ですが、上下運動が必要と言われています。高いところから部屋の中や外の景色を見るのが大好きですし、隠れる場所があると安心します。思う存分爪とぎができるように、爪とぎも数種類用意して、トイレは落ち着ける場所に設置して、猫の思いに少しでも応えてあげられるといいですよね」
「猫には上下運動が必要なんですね」
「キャットタワーだけでなく、高いところをぐるりと歩けるステップやキャットウォークもあると理想的ですけど、一般家庭ではなかなかそこまで出来ないので、食器棚やクローゼットの上にのぼれるようにするとか、窓際にキャットタワーを設置してあげるだけでも猫のお気に入りスポットになって喜びますよ。
あと、猫は狭くて身を隠せる場所があると安心するので、キャットハウスやボックス型のベッドがあるといいですね。ダンボール箱で手作りするもの楽しいですよ! ちなみに、買ってきたキャットハウスに入ってくれないのに、空き段ボールには喜んで入るということはよくあります(笑)」
猫は狭いところが大好き
「猫あるあるですね(笑)。確かに段ボールにみっちみちに詰まった猫の写真、よくネットで見かけます。ほんとうに狭いところが好きなんですね」
「一緒に暮らしている猫がストレスなく快適に過ごせると、飼い主にとっても安心だし、何より猫の健康にも直結します。まずは猫に合わせて住環境を整えてあげることをお勧めします。一緒に暮らしてみるとよく分かりますけど、猫って寝ている時間がほんとうに多いんですよ。なので、上下運動が出来るようにすることと、猫が安心して心地よく休める場所=自分の基地をいくつか作っておいてあげれば、基本的に大丈夫です。
ペットを飼い始めると部屋が汚くなるって思われがちですけど、実際飼い始めると掃除の回数が増えたり、イタズラされないように物をしまうようになるので、かえって部屋がキレイになることも多いんですよ」
「ペットと暮らしたことがない私にとっては、へぇー、意外!って感じです」
やっぱり猫暮らしにキャットタワーは必需品のようだ。どこに設置しよう……やっぱり外が見えるような窓際がベストなんだろうな。って、まだ一緒に暮らす猫が決まってないのに相変わらず先走っている私!?
猫男子に興味津々
「そういえば先週、帰り際に、若い男性とすれ違ったんですけど、男性のひとり客も多いんですか?」
「たぶん、ボランティアのカズさんですね。彼、住宅事情でペットを飼うことができないんですけど、実家でずっと猫と暮らしていたので猫が恋しくなるそうで、お仕事がお休みの週末、ボランティアに来てくれるんです。若いボランティアさんにはそういった事情の方が多いですね」
「ボランティア?」、猫男子か……。どんな男性なのか興味深い。
猫クイズ!(四つの選択肢から選んでください)
Q.猫がひなたぼっこが好きな理由で間違っているのはどれ?
(1)体温調整のため
(2)皮膚や毛を乾燥させるため
(3)外部寄生虫を減らせるから
(4)ビタミンを合成するため
A.(4)ビタミンを合成するため
【解説】人間と同じように日光を浴びることでビタミンDを合成していると言われていましたが、最近の研究では猫はこの能力が低く、ビタミンDは食物から取る必要があるようです。
(ねこ検定公式ガイドブックより)
(Photo by 保護猫写真家ねこたろう/協力 CAT’S INN TOKYO)
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