理想の猫暮らしを実現するため、週末に通い始めた保護猫カフェ“小豆沢の森”。
そこで改めて実感した「猫自体のニオイは気にならない説」。
ここの猫カフェにいる猫たちはその説を裏切らない無臭っぷりで、ならばと、近づいてよーく嗅いでみたら、お日様をいっぱいに浴びた干し草のようないい香りがするというサプライズ付き! だった。
トイレを臭いにくくするには?
しかし、何の努力もなくニオイの気にならない空間作りができるわけもなく、店長のアイさん曰く、こまめな掃除とニオイのつきやすいファブリックなどの手入れが必須とのことだった。
こまめな掃除といっても、店内に設置してある猫用トイレは10個以上。
「猫用トイレの掃除は汚れた砂を替えるだけですよね? それだけでこんなにニオイが気にならなくなるんですか?……ちなみに、猫の排泄物は臭いですよね?」
「はい、オシッコもウンチも臭いです。ですので放置しておくともちろん臭います。うちのお店では天然のヒノキでできた木質ペレット(木材を粉砕後、圧縮成形し、粒状にしたもの)を猫砂として使っているんです。ヒノキによるアンモニアなどのニオイ分解消臭効果で、オシッコ臭はほとんどしません。
ただ、ウンチはどうしても臭いので、見つけたらすぐに処理します。猫トイレも汚れたら丸洗いして消毒薬につけています」
「洗うんですね!」
「はい、洗った方が手っ取り早くてラクですよ! システムトイレのように猫トイレの底がザル状になったものは、拭いても汚れを取りきれませんし、そういうちょっとずつの蓄積が、ニオイの原因になったりするんだと思います」
「なるほど、とてもよく分かります。あの、私、平日の昼間は家にいないので、かなりの時間、排泄物を放置することになるんですけど、帰宅したら部屋が悪臭になっているってことはありますか?」
「頭数分より多いトイレを置き、たっぷりと猫砂を入れていくことと、定期的な猫砂の入れ替え、トイレの丸洗いを実行していれば、どの猫砂を使っていてもニオイは気にならないと思います。
室内に24時間換気システムが付いていればベストですが、そうでない場合は朝晩の空気の入れ替えや、換気扇とサーキュレーターなどで空気がよどまないようにするといいですね。うちでは次亜塩素酸水を空気中に排出して空気を殺菌する機械も使っています。これはどちらかというと感染症対策として設置しているんですが、脱臭効果もあります」
「加湿器は持っていますけど、そんな設備もあるんですね!」
「あとは、トイレキャビネット内に換気扇を2か所に設置しています。壁も調湿性が高く、消臭効果の高い鉱物の塗り壁にしています」
壁紙や床にも工夫を
「トイレだけではなく、ファブリックや壁紙にもニオイが蓄積されるって話が出ましたが、洗うことができない壁紙の手入れはどうしていますか? 今住んでいる部屋が賃貸なので、なるべく現状維持ができるよう注意したいと思っていて」
「消臭効果のある次亜塩素酸水や、重曹水のスプレーと雑巾で壁を拭くのがお勧めです。ファブリックのソファなどもこの方法でスッキリしますよ! うちのお店でも毎朝拭き掃除をしています。カーテンや布類は定期的に洗うといいですね。ホコリもニオイが吸着するので、掃除機も毎日かけてください」
「そうなんですね。だんだんイメージができてきました」
「あと、猫は毛玉(毛繕いした毛)を吐いたり、早食いして吐いたり、その頻度は猫によって違いますが、吐くことの多い動物です。もしラグなどを敷く場合は、丸洗いできるものがいいですね。また、フローリング材の床は、猫が走り回って細かい傷がつくのと、猫にとっても滑って走りにくいので、滑り止めマットやタイルカーペットなどを敷いてあげるとよりいいです」
「なるほどー。ちなみに、このカフェの床材は何ですか?」
「これは店舗用のフロアタイルなんです。靴で歩き回っても傷が付きにくい丈夫なものです。本当は無垢の木材にしたいのですが、先ほどもお伝えしたように猫は吐きやすい動物なので、手入れが楽なフロアタイルを使っています」
お風呂に入れた方がいいの?
「ちなみに、完全室内飼いでも、猫をお風呂に入れる必要ってあるんですか? 猫って水が嫌いなんですよね?」
「猫は自分できれいにグルーミングをするし、体臭はほとんどしないので、基本的にシャンプーは必要ありません。無理に入れて猫のストレスになるのも良くないですし」
「ここにいる猫たちをシャンプーすることはあるんですか?」
「保護後に一度はシャンプーしますが、その後はウンチまみれになるなど、何かなければ基本的にはしません。ただ、手足が不自由でトイレが使えない猫は10日に1度くらいのペースで下半身を中心に洗っています」
「わぁーそうなんですね。シャンプーしなくてもきれいなのは助かります!」
気になっていたニオイ問題の対応策を一通り聞けて、ほっとした。トイレの置き場所は相変わらず悩みのタネだが、それは猫暮らしをしながら考えればいいことだ。
それにしても、やっぱりこのお店は居心地がいい。猫もスタッフもお客さんも、リラックスモード全開で、実際の猫暮らしをイメージすることができる。
「猫も寄って来てくれるようになりましたね」
「そうなんです♪」
以前は遊び盛りの子猫しか寄って来てくれなかったが、今日は大人猫も私の足に寄っかかって寝てくれている。
「子猫がかわいいのは当たり前ですけど、一緒に暮らすことを考えると大人猫もいいですよね」
「はい、大人猫たちは性格がそれぞれ全く違うので、一匹一匹観察してみてください」
猫たちとの楽しい時間を満喫し、「また来週遊びに来ます!」と言いながら靴を履いていると、入れ違いにひょろっとした男性がお店に入って来た。
へぇー男性のひとり客もいるんだ……。
その後ろ姿は見るからに私よりも若そうで、慣れた足取りで店の奥へと消えていった。
(※この物語は、実在する飼い主募集型保護猫カフェをモデルにしたフィクションです)
猫クイズ!(四つの選択肢から選んでください)
Q.猫にとって理想とされるトイレの説明で間違っているのはどれ?
(1)頭数プラス1個を設置する
(2)トイレの大きさは猫の体格の1.5倍以上のものを選ぶ
(3)猫砂は粒の大きいタイプを選ぶ
(4)静かな場所に設置する
A.(3)猫砂は粒の大きいタイプを選ぶ
【解説】猫砂のタイプは猫によって好みも異なりますが、砂かけのしやすさやにおい、足裏の感触などが判断基準のようで、自然に近い素材で粒が細かいものを好む傾向にあるようです。
(ねこ検定公式ガイドブックより)
(Photo by 保護猫写真家ねこたろう/協力 CAT’S INN TOKYO)
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