結婚が先か、猫暮らしが先か?
わたしはこの連載の主人公・野村真穂。30歳と2か月の、いわゆるアラサー独身女子。
小さい頃から猫が大好きで、「いつか私も猫暮らしを」とあこがれを抱き、この春、念願である、都内のペット飼育可の賃貸マンションへ引っ越した。
結婚が先か、猫暮らしが先か……できれば両方とも20代のうちに手に入れたいと奔走していたが、このままいくと両方とも30代へ持ち越すことになると焦り、20代最後の春、慌てて引っ越しを決行した。
「滑り込みセーフ!」と思ったのもつかの間、“ニャンだふるな運命の出会い”を果たせぬままあっけなく30歳の誕生日を新居で迎え、猫暮らしも30代への持ち越し案件となってしまった。
運命の猫はどこに?
運命の猫との出会いはペットショップにあるのだろうか?……そう疑問に思いつつ、他の方法が思いつかない私は、ペットショップをはしごする日々を送っていた。しかし行くたびについ目に留まってしまう「猫種名」と「値札」。純粋に猫を見たいのに、どうしてもこの二つが先に目に入り、「飼えるか」よりも「買えるか」を考えてしまう。
違う、違う、違ーーーう! こういうことじゃないんだよ、多分……。
「えー、だったら保護猫の里親になってあげなよ」
ランチタイム、同僚からの一言に思わず言葉を失う私。
「保護猫の譲渡会とか譲渡会は行ったことあるの?」
「……ない。猫暮らしシロウトにはちょっとハードルが高そうで」
「えっ、そうなの?」
「だって、元野良猫ってことは、きっと人間に対して警戒心バリバリだよ」
「あー確かに、そういう子もいるかもね。でもお姉ちゃん家で飼っている猫、譲渡会から譲ってもらったって聞いてるけど〜、ベタ甘のヘロヘロちゃんで、全然大変そうじゃなかったなぁ」
「そうなの?」
「しかも、超美猫!」
そう言いながら見せてくれた写真は長毛の白猫で、キュートなお顔にフワフワボディー。これまでペットショップで血統書付きの猫たちを見てきた私から見ても、お世辞抜きで美猫だった。
美猫で“ベタ甘のヘロヘロちゃん”に出会えた同僚のお姉さんはかなりラッキーだったとは思うが、元野良猫や保護猫という言葉へのハードルは私の中でグンと下がった。
「えー、だったら保護猫の里親になってあげなよ。」
同僚のあまりにごもっともな一言もあり、ツイッターでハッシュタグ、#譲渡会、#保護猫譲渡会、#東京で検索をかけ、猫サイトを巡る日々が始まった。
そんなある日、ツイッターで目に留まった、喫茶店で開催する保護猫譲渡会の告知記事。
いやそれよりも何よりも、この告知記事に写っている黒猫に会ってみたい。
長いしっぽを前足に巻きつけ、優美な雰囲気を醸し出している美しい黒猫。
久々に湧き上がるワクワク感に頬をユルませながら記事を保存した。
「はぁ、私にも運命の日がやってくるかも」
(※この物語は、実在する飼い主募集型保護猫カフェをモデルにしたフィクションです)
猫クイズ!(四つの選択肢から選んでください)
Q.猫がしっぽを体や前足に巻きつけて座っている様子で正しいのはどれ?
(1)気持ちが落ち着かずザワザワしている
(2)リラックスしている
(3)興味津々で興奮している
(4)イライラしている
A.(2)リラックスしている
【解説】しっぽを体や前足に巻きつけてゆったり座っている様子は、リラックスして心が落ち着いている証拠。あるいはしっぽが脱力し、地面に沿って伸ばされている姿も同様で、安心や平穏などの感情状態を示します。(ねこ検定公式ガイドブックより)
(Photo by 保護猫写真家ねこたろう/協力 CAT’S INN TOKYO)
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