困り顔のセンパイが豹変? 自転車屋さんの看板猫たち

いろいろな猫の生き方(59)

 東京都昭島市の「サイクルセンター吉岡」(国営昭和記念公園そば)は、創業90年の歴史ある自転車屋さん。現在は、さまざまなスポーツタイプの自転車を扱っています。実は、ここにかわいい看板猫がいるといううわさを聞きつけて来てみました。お店は1階がメンテナンススペース、2階がショップになっています。階段を上がって扉を開けようとしたら、さっそくチンチラゴールデンの「コロン」がお出迎え。と思ったら、背後から黒い影が近づいてきます。その正体は? 年に2、3回ほど自転車のレースに参加し、遠出をするときは120キロの距離を疾走する、スポーツバイク好きの副店長の吉岡しのぶさんにお話を伺いました。

 1階のメンテナンススペースでは、スポーツ自転車だけではなく、ご近所の方の「ママチャリ」のパンク修理なども行っています。さて、猫たちがいる2階へ向かって階段を上ります。


 ガラスの扉越しに広い店内がよく見渡せます。ピンク色の象の横にちょこんと顔を出すチンチラゴールデン「コロン(メス・7歳)」の姿がチラッと見えますね。

 ジーッとこちらをうかがっています。普段は店内のスペースを自由に動きまわっているそうですが、訪問者が気になるときは外をのぞいているんですね。

 「コロン」の背後から、ボリュームのある黒い塊がゆっくりと近づいてきます。「コロン」の後輩のペルシャ猫の「バル(オス・1歳)」です。

 後輩なのに後からゆっくり登場するところは、大物感を漂わせています。こちらに興味津々とした動きからも「バル」は目立っています。

 外に逃げ出さないよう、そ〜っと扉を開けて中に入ります。ここでもバルは前面に出てきて、コロンは隅っこで目を伏せてしまいました。

 おっとりした性格が見た目にも表れているコロンは、顔立ちも困り顔系。バルがお店に来るまでの約1年半は、お店を1匹で独占し、看板を背負う存在でした。

 そこに生後3か月でやってきたバル。遊びたい盛りで絡んできても、当時のコロンは6歳の大人の猫。子猫を相手に遊ぶわけにいかず、幼いバルに振り回されていたそうです。

 またバルは男の子なので、すくすくと成長し、今ではコロンよりも体格が良くなっています。

 コロンは機敏に動き回るタイプではありません。猫にとっては、ズラリと並んだ自転車や棚に並んだ商品はいい遊び場のはずですが、平らな床でないと安心できないようです。

 申し訳なさそうな困り顔のコロンと違い、バルは余裕綽々しゃくしゃくといった感じ。のんきに階段によりかかっている姿はまるでぬいぐるみです。

 フサフサの長毛種なのも態度が大きめに見える原因ですが、これでも最近カット(サマーカット)したばかり。

 同じ時期にコロンもサマーカットをしたのですが、バルのように毛が伸びず体が細いまま。弱々しく見えるのは、そのせいもあるのでしょう。

 バルはあっという間に毛が伸びてきて、カット前の状態に近づいています。夏前にもう一度カットが必要ですが、もともと地肌を見つけるのに苦労するほど毛量が多いそうです。

 何もかも後輩のバルに押されているように見えますが、吉岡さんによると、コロンは以前より、だいぶ強い性格になったそうです。

 バルは食いしん坊で、コロンの分も食べようとする。それに負けじと対抗するようにしていたら、自然とたくましくなっていったのでしょうか。

 バルが近づきすぎるとしっかり威嚇したりして遠ざけるなど、いい距離感が保てるようになった2匹。バルがコロンのことを「怖い先輩」と認識できたからでしょうか。

 吉岡さん所有の自転車の写真を撮らせてもらっているとき、ここに猫が写り込んでいたらな〜とつぶやいたら、しばらくしてコロンが動き出しました。

 こちらの思惑通り、ポーズを決めてくれたコロン。見習うようにバルも写真に写り込んでくれました。ばっちり三角形の形に納まっています。さすがコロン先輩、よい指導ぶりです。

 サイクルセンター吉岡は、スポーツ自転車に興味はあるけれどハードルが高いと思っている初心者にオススメのお店。まず、猫が接客(?)してくれます。吉岡さんの細やかな対応、店長(3代目)の完璧なメンテナンス等々。

 スポーツバイク専門店としてはとても広い店内の、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイクの自転車の間にたたずむ猫たちを探してみてください。猫たちは階上のフロアから、気ままに自分の意思で1階に下りてくるので、会えないこともありますが、その際はご了承を。

サイクルセンター吉岡
 東京都昭島市中神町1163-7
 TEL042-541-5056
 http://www.cc-yoshioka.com/
 営業時間/11:00~20:00  定休日/毎週水曜日、第1第3木曜日
 駐車場2台分あり

南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)
デザイン事務所コイル代表。ソトネコ写真家&グラフィックデザイナー

猫の島「田代島」を訪れたのがきっかけで、「ソトネコたち」の生き方に興味を持ち、瀬戸内や九州の島で猫たちの写真を撮っている。ソトネコサイトの管理者。著書に「ソトネコJAPAN」「ねこ柄まにあ」「のんびり猫旅」「ねこ暦 七十二候」「サーバルパーク」「ワル猫だもの」「どやにゃん」「ワル子猫カレンダー2019」「辛口こねこカレンダー2019」ほか。

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