“猫好きの聖地”マルタの猫が大好きな「マルタ島の砂」

いろいろな猫の生き方(58)

 地中海の中央に浮かぶ小さな島国「マルタ共和国」。今や「マルタといえば猫」と、猫好きの間では有名ですが、昔は「マルタ島の砂」(ハーブ・アルパートとティファナブラス)という曲を連想したものです。日本では、深夜ラジオ番組の『オールナイトニッポン』のテーマ曲に使われたり、1970年代にはレコードが大ヒットしたので、特に年配の方にはなじみ深い曲です。なぜこの曲にふれたのかといえば、この美しいマルタを訪れてみて、砂と猫の関係が切っても切れないことに気づかされたからです。マルタの世界遺産、バレッタ市街の猫たちを中心に「マルタ島の砂と猫」をご紹介します。

 城壁に囲まれた世界遺産バレッタの旧市街へ行く前に、セントジュリアンのスピノーラ湾に寄りました。遊歩道の一角にある彫像が目的です。魚を手にした漁師と猫がモデルで、マルタの人たちの猫好き度を表しているといえます。

 像に近づいてみると、猫が1匹のはずが、2匹? よ〜く見ると本物の猫が、像の猫と同じポースをしていました。

 早速マルタの猫にからかわれたのでしょうか? マルタは猫も人もフレンドリーです。私のカメラのことをいろいろと聞いてきたり、いきなりカメラの前に入ってきてピースサインで映り込もうとしたり、楽しい経験です。

 とりあえず、スピノーラ湾では4匹の猫たちと出会うことができました。湾だけでなく住宅街に入っても猫たちの姿があって、マルタの猫撮影は幸先のよいスタートです。

 フェリーを利用して海から世界遺産のバレッタ旧市街に上陸です。ここはマルタの首都ですが、マルタ騎士団の本拠地でもあります。堅固な城壁に守られた旧市街は、まさに海に浮かぶ要塞ようさいのようです。

 街の中へ進むと、マルタストーンと呼ばれる美しいハチミツ色の岩石でできた建物が並びます。階段の傾斜も独特の美しさで、バレッタの雰囲気のある街並みを演出しています。

 メイン通りは観光客でごった返しているから、人けのない裏通りを歩きます。もちろん猫を見つけるため。でもおかしいな。いかにもいそうな路地裏なのに肝心の猫が見当たりません……

 路地裏はあきらめて、猫が住んでいるとのうわさがあるアッパーバラッカガーデンへ向かいました。そこでやっと1匹の茶トラ猫発見です。

 ここは有名な観光スポット。眺望がすばらしく、毎日午後4時に砲台から空砲が発射されることもあり、観光客が多く集まります。そんな場所だから茶トラ猫は大忙しです。

 観光客の「おもてなし」のため、あちこちから伸びる手で触られまくってもジッとして、写真撮影にも応じています。あまりの賢さに周りの人たちも感心しています。

 観光客が途切れたところで、茶トラ猫は石畳のない場所へ移動。低木の下へ滑り込みます。公園内を歩いてみると、他にも猫たちがパラパラと地面の上や花壇の中の涼しいところで過ごしていました。

 ここで気がついたのですが、バレッタの街は石畳だらけで、猫にとって大切な猫砂がありません。つまり用を足す場所がないのです。

 マルタ観光局のサイトにある猫マップでも、主に公園を紹介しています。確かに、超がつくほどの観光地ですから、石畳の上に猫のフンがコロコロ落ちているのは困ります。おのずと猫を保護している場所の多くが公園などの場所なんですね。

 日本のソトネコは、どちらかといえば普段は砂の上にいるのを避けているようですが、マルタの猫たちは違います。砂の上で過ごすのが好きなようで、砂の上でくつろぐ姿を何度も見かけました。

 特に花壇はお気に入り。猫目当ての観光客から距離を開けたいときの絶好の逃げ場になっているようです。花壇の中に人は入れませんから。

 この写真には11匹の猫がいます。ちょうど、地元の猫のお世話をしている人がゴハンを持ってきたので一気に集まってきたのです。周辺は公園や空き地があり、マルタの砂がふんだんにある場所です。

 マルタを訪れる前に調べていたら、最近はあまり猫がいないとの情報でした。観光客が大挙して押しかけるような場所には当然あまりいませんでしたが、地元の人が住んでいる場所で、砂があれば猫たちはいる印象をうけました。

 世界遺産のあるマルタ島ですから、猫だけではなく見どころはたくさんあります。ぜひ、ゆったりした日程で、マルタの人々や猫たちの暮らしぶりにふれてみてください。ヒット曲「マルタ島の砂」は歌詞がありませんが、元のタイトルは『The Maltese Melody』(マルタのメロディーなのでどこにも「砂」の文字は入っていません)。なぜ日本版のタイトルに「砂」の文字が入ったのかは不明だそうです。(つづく)

南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)
デザイン事務所コイル代表。ソトネコ写真家&グラフィックデザイナー

猫の島「田代島」を訪れたのがきっかけで、「ソトネコたち」の生き方に興味を持ち、瀬戸内や九州の島で猫たちの写真を撮っている。ソトネコサイトの管理者。著書に「ソトネコJAPAN」「ねこ柄まにあ」「のんびり猫旅」「ねこ暦 七十二候」「サーバルパーク」「ワル猫だもの」「どやにゃん」「ワル子猫カレンダー2019」「辛口こねこカレンダー2019」ほか。

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