生いちご 氷の絶壁を流れ下る真っ赤な果実

瀬戸理恵子のおやつ便り

かき氷 生いちご(東京・目白の「志むら」で)

 5月に入って初夏の陽気になってくると、俄然がぜん食べたくなるのはかき氷です。シャリシャリッと溶けて、スススーッと体の中を駆け抜けていく、あの心地よいひんやり感といったら!  体の火照ほてりとともに喉の渇きまで癒やされて、生き返ったような気持ちになります。

 「今年最初のかき氷はどこにしようかな」と考えて、真っ先に頭に浮かんだのは、東京・目白の和菓子店「志むら」の「生いちご」です。

お皿の上にそそり立つのは、フワッフワに削られた真っ白な氷の断崖。その絶壁を、「これでもか!」というくらいイチゴのスライスたっぷりのシロップが、滝のように流れ下ってお皿を満たしているのです。その圧巻のビジュアルに、何度食べても歓声を上げてしまうのは、きっと私だけではないはずです。

 見るからにみずみずしい真っ赤なイチゴは、静岡県・イチゴイチエ石神農園から届く「紅ほっぺ」を、お店でスライスしてシロップ漬けにしたもの。「火を通さないので、ナチュラルなイチゴの酸味が抜けないんです。すっきりしたやさしい甘さに、和菓子屋ならではの工夫が隠れています」と、喫茶室マネージャーの江良保正やすまささんは話します。

◇    ◇    ◇    

 氷は、清らかな水のおいしさが広がる、南アルプス・八ヶ岳の蔵元「八義」の天然氷をチョイス。江良さんによれば、天然氷はじっくり時間をかけて凍らせているので、冷凍庫で急速に凍らせた氷と比べて純度が高く、溶けにくいとか。室温で少しゆるめてから薄く削ることで、フワッフワな質感が生まれるそうです。

 氷の山を崩さないようにそっとスプーンを入れて口に運べば、羽のように軽やかな天然氷がシュワッと溶けて、プチプチしたイチゴのはじけるような甘酸っぱさが口いっぱいに。どこまで食べても果肉感たっぷりで、フレッシュ感あふれるイチゴの味わいをクリアに、心ゆくまで楽しめます。

 

かき氷 生いちご
   950円(税抜き)
   ※天然氷は+150円(税抜き)
店舗 志むら
東京都豊島区目白3-13-3
電話 03-3953-3388
喫茶室 10:00~19:00(18:30L.O.)
       祝日~18:00(17:30L.O.)
     ※1F 和菓子販売は9:00~
日曜休

瀬戸 理恵子(せと・りえこ)
フードエディター・ライター

 瀬戸 理恵子(せと・りえこ) フードエディター。 1971年東京都生まれ。銀行勤務を経て2000年にパリへ製菓留学し、エコール・リッツ・エスコフィエ、ル・コルドン・ブルー パリで菓子ディプロムを取得。ピエール・エルメ氏のもと研修を重ねる。2001年帰国し、月刊誌「料理王国」、「料理通信」の編集部を経て、2009年独立。お菓子を中心にフリーランスのフードエディター・ライターとして活動中。監修・共著に「東京手みやげ 逸品お菓子」(河出書房新社)など。このほか、「『オーボンヴュータン』河田勝彦の郷土菓子」(誠文堂新光社)など、パティシエの書籍製作も手がける。

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