プリン・ア・ラ・モード 華やかでレトロな憧れデザート

瀬戸理恵子のおやつ便り

 おだやかな春の海を眺めに、横浜へ。山下公園をぷらりとお散歩したら、やっぱり食べたくなるのは、「ホテルニューグランド」の「プリン・ア・ラ・モード」です。

 「ホテルニューグランド」といえば、昭和2年(1927年)に開業した、日本を代表するクラシックホテルです。歴史の重みと格式を感じさせる西洋風の建物とともに人々を喜ばせているのが、このホテルで生まれた名物料理の数々。今や日本中で親しまれている「ドリア」も、「スパゲッティ ナポリタン」も、このホテルが発祥なのです。そして、甘いもの好きにはたまらない「プリン・ア・ラ・モード」も! 

 誕生したのは、ホテルニューグランドがGHQによって接収され、アメリカ人将校やその妻たちが滞在していた終戦後。甘いものが好きな彼女たちを満足させるべく、華やかでボリューム感のあるデザートをつくらなければと、当時は贅沢ぜいたく品だったプリンとアイスクリームを盛り合わせに。さらにアメリカから送られた缶詰の果物を合わせ、“コルトンディッシュ”と呼ばれる、横長で脚つきのガラスの器に盛りつけて提供したのが始まりといいます。

 全卵と牛乳、上白糖、バニラビーンズでつくられたプリンは、昔ながらのぷるんと硬めの食感で、やさしい味わい。マイルドでクセがない自家製バニラアイスクリームとよく合います。その脇には、美しくカットされたフルーツとともに、ふっくらやわらかなプルーンの甘煮も。聞けばこのプルーンも、戦後、保存食として日本へ大量に持ち込まれたものを甘く煮たのが、添えられるようになったそうです。

 誕生当時、まさに“モード”だった華やかなデザートは、時を経て、懐かしい昭和の香りを運ぶ、なごみのひと皿に。守り継がれる手づくりの味わいに、心がほわっと温かくなります。

 

プリン・ア・ラ・モード
1350円(税抜き)
店舗 ホテルニューグランド 本館1階
        コーヒーハウス「ザ・カフェ」

神奈川県横浜市中区山下町10番地
045-681-1841(代)
10:00~21:30(L.O. 21:00)
無休

瀬戸 理恵子(せと・りえこ)
フードエディター・ライター

 瀬戸 理恵子(せと・りえこ) フードエディター。 1971年東京都生まれ。銀行勤務を経て2000年にパリへ製菓留学し、エコール・リッツ・エスコフィエ、ル・コルドン・ブルー パリで菓子ディプロムを取得。ピエール・エルメ氏のもと研修を重ねる。2001年帰国し、月刊誌「料理王国」、「料理通信」の編集部を経て、2009年独立。お菓子を中心にフリーランスのフードエディター・ライターとして活動中。監修・共著に「東京手みやげ 逸品お菓子」(河出書房新社)など。このほか、「『オーボンヴュータン』河田勝彦の郷土菓子」(誠文堂新光社)など、パティシエの書籍製作も手がける。

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