春の息吹を感じる、伝統&独創性あふれる四川料理

ごほうびフード×ぐるなび

 人知れず頑張っているあなたへ。すてきなレストランやワンランク上の手土産など、女性にとって、最高においしい“ごほうびフード”情報をお届けします。

 昨今の“しびれ料理”ブームを機に四川料理にハマった方も多いのではないでしょうか。麻婆マーボー豆腐や青椒肉絲チンジャオロースー海老えびチリといった代表メニューはもちろん、独創性に富んだ一品に出会えるのが中国料理店「szechwan restaurant 陳(スーツァン・レストラン・チン)」(東京・渋谷)です。

 店があるのはセルリアンタワー東急ホテル2階、開放感あふれるラグジュアリーなテーブル席と、オープンキッチンスタイルのカウンター席が印象的です。日本における四川料理の巨匠・陳建民シェフが創業した『赤坂四川飯店』の系列店。本格的な四川料理はもちろん、四季折々の食材を生かしたコース料理や季節限定メニューが充実し、多くの美食家をとりこにしています。今回は春のおすすめメニューから3品をオーダーしました。

前菜の盛り合わせはまさに“春爛漫”

 まずは「本日の前菜盛り合わせ」。写真手前から、うま味が凝縮されたイベリコ豚の腸詰め、紹興酒漬けのウニを添えたゴマ豆腐、カリカリに揚げたサワラと、高級感あふれるラインアップ。中列は中華スープのゼリーと合わせたタケノコの煮こごり、定番のよだれ鶏とまろやかな味わいのソラマメの煮こごり。

 奥の列に、晴れやかに咲くサクラの木は、サクサクとした食感が意外なサクラの塩漬け、枝の部分をシイタケのしょうゆ煮で表現しています。ウメのソースがアクセントの北京ダックに、黒酢の利いたアジの南蛮漬けと盛りだくさんです。

 「市場での買い付けはもちろん、産地直送の食材も多く使っています。生産者の方々なしでは料理は成り立たない。どのように育てられているかはもちろん、思いや情熱を実際に感じるために直接伺うこともあります」と語るのは、料理長を務める井上和豊シェフ。オープン当初から同店を支え、「RED U-35 2016」でグランプリにあたる“レッドエッグ”にも選ばれた若き実力者です。

しっかりした辛さ&深い うま味の車海老

  食材にとことんこだわるのは海の幸も同じ。豊洲市場(東京都中央卸売市場)から仕入れた車海老の存在感がまぶしい「香ばしく揚げた車海老~XO醤(エックスオージャン)でいためた春野菜を合わせて~」。

 今の時期、名産地として知られる長崎県産が多いのだそう。食欲をそそる香りに誘われるがままかぶりつくと、カリカリに揚げられた殻と引き締まった身のうま味と、XO醤の辛味が広がります。ソラマメやグリーンピース、タケノコもみずみずしい食感。「個人的に食器選びが大好きなんです」という井上シェフこだわりの赤銅色の皿が、春野菜の優しい色合いを際立たせます。しっかりと利いてくるピリ辛は、ビールや紹興酒といったアルコールとの相性も良さそうです。

三国志にも登場!? 伝統肉料理をアレンジ

 燃えるような糸唐辛子に包まれる赤身肉――「黒毛和牛の柔らかスモーキージャーキー~石川県産“兼六芋”を添えて~」は、食材の持つ魅力が最大限に引き出された一皿です。香りをまとわせるため低温でいぶす“冷燻れいくん”を施した牛肉を焼き、うま味を封じ込めてから香辛料などを使った特製ソースで煮込んだもの。むほどに肉のコクがあふれる濃厚な味わいです。肉の下に隠れているのは、一時期生産が途絶えたことから幻の品種とも呼ばれたサツマイモ“兼六”のペースト。なめらかな食感と強い甘みがありますが、砂糖は使用されていないとのこと。ちりばめられた金箔きんぱくもゴージャスです。

 もとになっているのは、張飛牛肉チャンフェイニウロウと呼ばれる四川料理。「三国志に登場する武将・張飛が、実家が精肉店ということもあり、戦いに勝利した際に部下たちに振る舞われたと言われている伝統ある肉料理。四川省の空港ではお土産として売られているんですよ」(井上シェフ)

井上シェフ考案メニューは機内でも

 日本の料理史に残る名店のシェフとして、伝統を守りつつも常に挑戦を続ける井上シェフ。腕を振るうのは店舗のみならず、JALの国際線プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスで味わえる「RED U-35 ~若き料理人たちによる機内食~」も2年連続で携わっています。

 井上シェフが監修を手掛けた3~5月の春メニューは、同店や「赤坂四川飯店」の代名詞でもある「麻婆豆腐」を機内食にアレンジした「麻婆仕立ての鶏そぼろ丼」。鶏肉はピリリと刺激的ですが、子供やお年寄りも楽しめる、ほどよい辛さに。豆腐の代わりにカラフルな複数の豆を使用し、豆乳でクリーム煮にしてまろやかに仕上げました。

 「伝統的な料理のアレンジには正直、個人的に戸惑いもありましたが、周囲の勧めもあり満を持してメニュー化しました」と井上シェフ。「作りたてではない状態でもおいしく食べてもらうためには新しい考え方が必要。料理人としての経験値が上がりました」と、熱を込めました。

 伝統を守りつつ、意欲作を生み出し続ける井上シェフ。新しいことが次々に始まる春にぴったりな才能あふれる四川料理を食べ、大きな刺激を受けました。(ライター/麻林由、カメラマン/木村雅章)

[メニュー]※税込み
■「szechwan restaurant 陳 本日の前菜盛り合わせ(1人前) 1782円
■香ばしく揚げた車海老~XO醤で炒めた春野菜を合わせて~ 800円
■黒毛和牛の柔らかスモーキージャーキー~石川県産“兼六芋”を添えて~ 3000円

[店名]「szechwan restaurant 陳 渋谷店
[住所]東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル2F
[営業時間]11:30〜14:00、17:30〜23:00(ラストオーダー21:30)
[定休日]無休
[問い合わせ先]03-3463-4001
[ホームページ]https://r.gnavi.co.jp/gr0k776n0000/

RED U-35
(RYORININ’s EMERGING DREAM) レッド アンダー サーティーファイブ(リョウリニンズ エマージング ドリーム) RYORININ’s EMERGING DREAMとは、「料理人に現れる夢」という意味。 RED U-35は、夢をもった次世代の料理人たちを応援するプロジェクトです。