マロンシャンテリー 心ときめく伝統の逸品

瀬戸理恵子のおやつ便り

 「わあ、お姫様が着るドレスみたい!」と、子供の頃に目をキラキラ輝かせながら(自分では見えませんが、たぶん)食べていた、「東京會舘かいかん」の「マロンシャンテリー」。フリルのように美しく絞られたクリームがエレガントで、今でも目にするたび、ときめかずにはいられない、ずっと大好きなお菓子のひとつです。

 しばらく夢見心地で眺めたあと、ふんわり、軽やかなクリームにそっとフォークを入れると、中から現れるのは黄金色に輝くそぼろ状の栗。しっかり存在感を放ちながらも、ほろほろっと崩れてミルキーなクリームとなめらかに混じり合い、口いっぱいにやさしい風味が広がります。

 シンプルながら、このバランスがたまらない! 自然と笑顔がこぼれ、幸福感と懐かしさで胸がじんわり温かくなるのです。

     ◇     ◇     ◇

 「東京會舘」副製菓長の湯田英明さんによれば、おいしさの秘訣ひけつは、甘露煮の栗をミンチマシーンで2回裏漉うらごしし、いったんまとめてから再び粗い目の網で漉すこととか。「手間のかかる作業ですが、これによってほどよく空気を含んで、よりなめらかな口当たりになります。形作る際にも、手でぎゅっと押さえないことが大切です」と話します。

 この「マロンシャンテリー」が誕生したのは、1950年頃のこと。「東京會舘」初代製菓長の勝目清鷹さんが、モンブランを日本人向けにアレンジして考案したといい、以来、当時と変わらないレシピと味が守り継がれています。もちろん今日(2019年1月8日)、創業から97年を経てリニューアルオープンを迎えた、新生「東京會舘」でも!

 光あふれる「ROSSINI TERRACE」のソファに身を沈めて、緑あふれる皇居とお堀を眺めながら味わう伝統の味は、また格別に感じられます。

マロンシャンテリー
    1皿 1000円(税・サービス料別)
     ※コーヒー・紅茶など飲み物は別料金になります 
店舗 東京會舘「ROSSINI TERRACE」(ロッシニテラス)
東京都千代田区丸の内3-2-1 東京會舘 本舘1F
050-3134-4890(本舘レストラン予約センター)
 平日 10:00~21:30LO
 土曜、日曜、祝日 10:00~21:00LO
  ※ドリンクは~22:00LO
   (土曜、日曜、祝日 ~21:30LO)
無休

瀬戸 理恵子(せと・りえこ)
フードエディター・ライター

 瀬戸 理恵子(せと・りえこ) フードエディター。 1971年東京都生まれ。銀行勤務を経て2000年にパリへ製菓留学し、エコール・リッツ・エスコフィエ、ル・コルドン・ブルー パリで菓子ディプロムを取得。ピエール・エルメ氏のもと研修を重ねる。2001年帰国し、月刊誌「料理王国」、「料理通信」の編集部を経て、2009年独立。お菓子を中心にフリーランスのフードエディター・ライターとして活動中。監修・共著に「東京手みやげ 逸品お菓子」(河出書房新社)など。このほか、「『オーボンヴュータン』河田勝彦の郷土菓子」(誠文堂新光社)など、パティシエの書籍製作も手がける。

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