ガレット デ ロワ イズニー 一年を占う王様のお菓子

瀬戸理恵子のおやつ便り

 まっさらな本の1ページ目を開くように、また新しい年がやってきます。それとともにフランスのお菓子屋さんやパン屋さんのショーウィンドーを埋め尽くしていくのが、アーモンドクリームをパイ生地で包んで焼いた、ガレット・デ・ロワです。

 本来は1月6日のエピファニー(公現節。東方の三博士が誕生したばかりのイエス・キリストを訪ねた日)を祝って食べるお菓子ですが、年末から1月にかけていろいろなお店で出合えます。

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 なんといってもお楽しみは、このガレットのどこかにこっそり仕込まれている、フェーヴ(主に陶製の小さな飾り)!

 切り分けて食べて、当たった人は王様や王妃様として添えられた王冠をかぶり、みんなから祝福を受けられるのです。さらにその一年間の幸せが約束されるとくれば、ガレットを囲む目は真剣で、当たった人も当たらなかった人も大騒ぎ。これなくして一年は始まらない!というわけです。

 2019年の運試しに私が選んだのは、「パティスリー ユウ ササゲ」の「ガレット デ ロワ イズニー」。質の高い、フランス・ノルマンディー産「イズニー」のAOC発酵バターをふんだんに使用した、贅沢ぜいたくなひと品です。

 表面に刻まれた木の葉模様も美しいパイ生地は、食感がしっかりありつつ、口溶けよくほろり。バターと小麦の風味よく、塩気も効いています。アーモンドクリームには、マジパン(アーモンドのペースト)も加えられていて、コク深くリッチな味わい。バターのミルキーな余韻も広がって、絶妙なバランスにため息がこぼれます。

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 「ガレット・デ・ロワは構成がシンプルなだけに追求し甲斐がいがあって、本当に奥深いと思います」と語る、シェフ・パティシエのささげ雄介さん。こだわりは素材にとどまらず、配合やパイ生地の折り込み方、飾り模様を入れるナイフとその角度にまでも。「王道を突き詰めて」生まれた、渾身こんしんのガレット・デ・ロワです。

ガレット デ ロワ イズニー
   4000円(税別) ※50台限定
店舗 パティスリー ユウ ササゲ
東京都世田谷区南烏山6-28-13
03-5315-9090
10:00~19:00
定休日 火曜、その他月2回不定休

瀬戸 理恵子(せと・りえこ)
フードエディター・ライター

 瀬戸 理恵子(せと・りえこ) フードエディター。 1971年東京都生まれ。銀行勤務を経て2000年にパリへ製菓留学し、エコール・リッツ・エスコフィエ、ル・コルドン・ブルー パリで菓子ディプロムを取得。ピエール・エルメ氏のもと研修を重ねる。2001年帰国し、月刊誌「料理王国」、「料理通信」の編集部を経て、2009年独立。お菓子を中心にフリーランスのフードエディター・ライターとして活動中。監修・共著に「東京手みやげ 逸品お菓子」(河出書房新社)など。このほか、「『オーボンヴュータン』河田勝彦の郷土菓子」(誠文堂新光社)など、パティシエの書籍製作も手がける。

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