「今年の一皿」は、女性も注目の「鯖」

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マサバのこぶ締め炙り(キヌアと柿を酢飯のイメージで ライムのハーモニー)

 食をテーマにした調査・研究を行っている「ぐるなび総研」(東京都千代田区)は6日、2018年の世相を反映する「今年の一皿(R)」を発表しました。大賞に選ばれたのは「さば」。鯖缶が注目を集め、魚食文化の良さが再認識された点が評価されました。

「鯖の味噌煮」(ぐるなび提供)

「非常食」として再認識

「今年の一皿(R)」は、その年に話題になったことに加えて、社会の動きと関係が深く、世相を反映し、さらに食文化の記録として後世に受け継ぐ価値があることを基準に選定されます。飲食店情報サイト「ぐるなび」に蓄積されたデータと、ぐるなび会員への調査から食に関するキーワードを抽出し、メディア関係者らと協力して、その年を象徴する料理を選びます。

大賞の鯖料理を運んできた、東大生の河野玄斗さん(ぐるなび提供)

 過去には、「ジビエ料理」(2014年)、「おにぎらず」(15年)、「パクチー料理」(16年)、「鶏むね肉料理」(17年)が大賞に選ばれ、消費者にも定着してきました。「受賞後は取り扱う飲食店数が増加し、さらに人気が増す」(ぐるなび総研・三村麻里香さん)といいます。

ノミネートされた「高級食パン」(ぐるなび提供)

 今年は「高級食パン」「国産レモン」「鯖」「しびれ料理」の四つがノミネートされました。

同くノミネートされた「国産レモン」(ぐるなび提供)

 「鯖」が大賞に選ばれた理由として、今年は各地で大きな災害に見舞われ、防災意識の高まるなか、鯖缶など缶詰の「非常食」としての重要性が再認識されたことが挙げられます。とりわけ鯖缶は、DHA(ドコサヘキサエン酸)などの栄養素が豊富で、健康効果が期待できることから、テレビの情報番組などで紹介され、スーパーなどで品切れになるほどの人気となりました。

「鯖のプッタネスカ」(ぐるなび提供)

 さらに、大分の「関さば」や宮城の「金華さば」などブランド魚の人気が高まり「町おこし」に一役買ったり、従来のイメージを払拭するような洗練されたデザインの「おしゃれ鯖缶」「プレミアム鯖缶」が登場するなど、「鯖」が、流行に敏感な女性にも注目された一年となりました。

準大賞には「しびれ料理」

 準大賞には、麻婆マーボー豆腐や担担麺など、中国原産の花椒ホアジャオを使用し、食べた後に口内で新鮮な刺激を感じる「しびれ料理」が受賞しました。

準大賞の「しびれ料理」(ぐるなび提供)

 授賞式では、鯖生産者を代表して大日本水産会の白須敏朗さんが、ぐるなび総研の滝久雄・代表取締役から記念品の有田焼の皿を授与され、「一皿といわず、さらにさらに(鯖を)食べていただきたい」と、ジョークを交えてあいさつしました。

左から、ぐるなび総研 代表取締役社長 ぐるなび 代表取締役会長・創業者の滝久雄さん、準大賞を受賞した「麻辣連盟」総裁・中川正直さん、大賞を受賞した、一般社団法人・大日本水産会の白須敏朗さん、記念品の皿を製作したアーティストの野老朝雄さん(ぐるなび提供)

 また、授賞式後のトークセッションでは、「おやつ代わりに鯖缶を食べる」という、東大医学部に在学中かつ司法試験にも合格した河野玄斗さん、鯖愛好者を代表して全日本さば連合会会長で「サバニスト」を称する小林祟亮さんと、同会広報担当で「サバジェンヌ」の池田陽子さんらが登壇。「ノーマカレル(サバ) ノーライフ」「サバ(すば)ラシイ!」と、“鯖愛”をアピールしました。

左から、東大医学部生の河野玄斗さん、全日本さば連合会 会長で「サバニスト」の小林祟亮さんと、同会広報担当「サバジェンヌ」の池田陽子さん、中央水産研究所資源管理研究センター主任研究員・小林祟亮さん

RED U-35シェフがアレンジ料理を披露

 イベント終了後、フランス料理店「メゾン・ド・タカ 芦屋」(兵庫県芦屋市)の糸井章太シェフが「マサバのこぶ締めあぶり」を来場者に振る舞いました。糸井シェフは、国内最大級の料理人の競技会「RED U-35 2018」でレッドエッグ(グランプリ)を受賞しています。

糸井章太シェフ作のアレンジ料理「マサバのこぶ締め炙り(キヌアと柿を酢飯のイメージで ライムのハーモニー)」

 鯖と言えば、「鯖の味噌みそ煮」や「しめ鯖」などの和食が定番。糸井シェフは、南米原産の雑穀「キヌア」を酢飯に見立て、ライム、ハーブ、セロリ、柿、牡蠣かきなど、和洋の食材をふんだんに使って、「さばずし」をイメージした美しいフレンチに仕上げました。「鯖はアレンジ次第で、洋食でも全く違和感はありません」と糸井シェフ。ふだんは鯖を食材としてあまり使っていなかったものの、鯖の魅力を再認識したそうです。

(取材・メディア局編集部・遠山留美)