知人が通うクラシックバレエ教室に猫たち(複数)が現れると聞いて、千葉県船橋市の「アサミバレエスクール」に行ってきました。バレエ教室は、主宰するご夫妻の自宅を兼ねていて、猫たちはご夫妻の飼い猫です。基本は自宅スペースで過ごしていますが、隙を見て2階にあるスタジオに上がってくるそう。猫たちに会うのも楽しみでしたが、初めて見るバレエレッスンと、通ってくる子どもたちがとても印象深かったです。本スクールを主宰し、プロのバレエダンサーとして数々のバレエ団で活躍してきた茂木あさ美さんに案内してもらいました。
閑静な住宅街の一角にあるスクール。スタジオは2階にあります。階段を上がると、広々とした空間に猫たちが待ち構えていました。一瞬「4匹いる?」と思いましたが、実際は2匹。スタジオの大きな鏡に映っていたんですね。
中央で優雅に佇んでいるのがソマリのアーシャ(15歳)。天井が高いので、窓から陽光が差し込みます。その光に包まれ、踊り出しそうな厳かな雰囲気ですね。
出窓で寝転んでいたのは、アビシニアンのシャルウィー(16歳)。2匹は姉妹です。子猫だったシャルウィーを友人から譲り受けた5か月後、新たに生まれたアーシャも家族に加わりました。
父がソマリ、母がアビシニアン、両種はルーツが同じ種なので、それぞれ両親の遺伝子を引き継いだのでしょう、子どもの頃、2匹はソックリだったそうです。
成長とともに毛がフサフサに伸びたアーシャ。当初2匹は見た目も性格も違っていたのに、年齢とともにそろって甘えんぼうな性格になっていき、独占欲が強くなるところまでも似てきたそう。
お互いに飼い主に甘えて競い合いをするあまり、仲良し姉妹だったはずが、最近は少し微妙な雰囲気になってきているそうです。実は、ここにはもう1匹、妹とも呼ぶべき存在が……。
知らない人に超ビビりな猫、グレース(8歳)です。しかし、ドアノブへジャンプし扉を開け、レッスンをのぞいている姿が何度も目撃されています。グレースは子猫の時、交通事故に遭った母猫の近くにいたところを保護されました。
今日は特別に、小学3~4年生クラスのレッスンの前に、生徒さんたちと一緒の写真をお願いしました。あさ美先生が自宅スペースに戻っていたアーシャを連れてきて落ち着かせます。
「猫に触ってみたい人~」と先生が許可すると、子どもたちが近づいて触りまくります。ある意味、猫が一番苦手なシチュエーションです。「あぁ、今日はこれ以上写真を撮るのは難しいかも」と心の中で思いましたが、アーシャは平然としています。
しばしの触れ合いが終了し、再びバレエレッスンの時間です。音楽の流れる中、あさ美先生のかけ声に合わせて子どもたちが体を動かします。本スクールの定期発表会のレベルが高いとの評判通り、レッスンは本格的です。
列の一番後ろにいたアーシャが、トコトコとフロアの中央に移動していきます。あれだけ猫に興奮していた子どもたちが、気をとられることもなくレッスンに集中しています。ちょっと感心してしまいました。
あさ美先生は、レッスンはバレエ技術を学ぶこと以外に、自立心と集中力と思いやりの心を育むためのものだと語ります。いずれは子どもたちがバレエを続けなくても、ここでの体験が子どもたちの将来に役に立てばと思っているそうです。
確かに、子どもたちはアーシャを取り囲んだとき、むやみに触ったりせずに、順番待ちをしていました。そうした子どもたちの思いやりを感じ取って、アーシャは逃げ出さなかったのでしょうね。お気に入りの出窓でも安心してレッスンに参加?です。(※本来はレッスン中に猫はいません)
相変わらずスタジオには、ポカポカと気持ちのいい光が差し込みます。子どもたちのレッスンを間近に見ながら、アーシャは昼寝モードに入っていきました。眠りに入った後もバレエのレッスンは続きます。
クラシックの優美な音楽が流れ、あさ美先生のよく通る声が心地良いスタジオを後にしました。ベビーからシニア、それにプロ志向の方まで、さまざまなクラスのレッスンが夜まで続きます。遠方から通う生徒さんもいるそうです。
アサミバレエスクール
千葉県船橋市二子町628-12
電話:047-335-7717
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