猫と人の強い絆

いろいろな猫の生き方(23)

 東急東横線「白楽駅」に近い公園の一角に、「神奈川県動物愛護協会」の施設があります。今年で創立60年と長く活動を続けている団体で、飼い主のいない動物の保護や病気の治療、里親探し、ノラ猫の不妊・去勢手術などを行っています。
 猫写真のイベントで同協会を知り、今回スタッフの大林さんに施設を案内してもらいました。

「神奈川県動物愛護協会」は、東急東横線「白楽駅」に近い公園の一角に施設があります。
さて、ここで暮らす猫たちの個性や性格は、実に様々です。仲良くみんなと暮らせる猫もいれば、この「ムック」くんのように、触り過ぎると本気でんでくるきかん坊な猫もいます。
珍しいオッドアイの「イコナ」ちゃんも、実は自力で排泄はいせつができない状態。施設に来た当初は、不安だったのか、自分の尻尾を噛む自傷行為が止まらなかったそうです。今は、治療とスタッフの手厚い介護で、抱きかかえられても落ち着いています。
さび猫の「うぶ」ちゃんは、片足のない状態で病院に運び込まれました。最初は人への不信感でいっぱいで、すぐ攻撃をしかけてきたそう。
古くから動物の保護活動をしているこの施設では、飼い主の事情で飼えなくなった動物の他、病気やハンデなどがあって捨てられた動物など、里親探しが難しい動物たちも数多く暮らしています。
この施設の特長は、併設する動物病院があり、担当医が診察しながら、スタッフと共に病気の動物たちのケアをすることにあります。特に重い病気などで深刻な状態の動物は、診察室前のゲージで過ごします。
健康で若い動物は短期間で里子に出されますが、保護動物は傷病・老齢も多く、猫(50匹)だけでなく犬(15匹)も暮らしています。猫たちはスタッフの大林さんに抱っこされると、みんなそろって安心した表情になります。猫と人が信頼し、お互いにぬくもりを感じ合う瞬間、その絆の尊さをひしひしと感じました。
見学して心に残ったのは、猫エイズに感染している「トラ」くん。同居する3匹の猫たちも同じ猫エイズで、みんなキャリア状態ですが、症状はまだ出ていません。また施設の他の猫に感染しないように食器の消毒にも配慮しています(左は「おお」ちゃん、右が「トラ」くん。他の2匹は隠れています)
「おお」ちゃんは、見慣れない人が気になるのか、私が部屋に入ったら隠れてしまいました。代わりに「トラ」くんが部屋を代表して? 姿勢を正してじっとこちらを見つめてきました。
猫の多くは、飼い主や見慣れた人でないと目線を外すものですが、「トラ」くんは外しません。目にねぎらいの色までが浮かんでいるようです。一緒にこの部屋で暮らす他の猫に、最近里親さんが見つかったそうです。里親さんは、今までずっと猫エイズの猫と暮らしていたそうで、次に飼うのも猫エイズの子と決めていたとのこと。
施設の活動は、寄付金や会員からの会費の他、バザーやオリジナルグッズの販売、動物福祉検定や動物病院の一般診療の収益で運営しています。ご興味があれば、ぜひ協会の公式サイトものぞいてみてください。

公益財団法人 神奈川県動物愛護協会
神奈川県横浜市港北区篠原台町6-41
(東急東横線「白楽駅」下車 徒歩約10分)
電話/045-421-5592 代表 山田佐代子
http://www.kspca.jp/ 

南幅俊輔(みなみはば しゅんすけ)
デザイン事務所コイル代表。ソトネコ写真家&グラフィックデザイナー

2009年猫の島「田代島」を訪れ、「ソトネコたち」の生き方に興味を持ち、月1回、瀬戸内や九州の島で猫たちの写真を撮っている。ソトネコサイトの管理者。著書に『ソトネコJAPAN』『ねこ柄まにあ』『のんびり猫旅』『ねこ暦 七十二候』『ワル子猫カレンダー2018』『ワル猫だもの』『サーバルパーク』『どやにゃん』ほか

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