【材料・作りやすい分量】
卵黄 1個
白ワインビネガー 大さじ1杯(15ml程度)
塩 小さじ1/2杯(4g程度)
練りマスタード 10g
ブラックペッパー(粗挽き) 小さじ1/8杯
パプリカパウダー 小さじ1/2杯
サラダ油 100ml
トウモロコシ 1本
【作り方】
ボウルに油以外のすべての材料を加えて混ぜ、塩を溶かす。サラダ油を少しずつ、少しずつ、加えながら、ねっとりするようによーく混ぜ合わせる。トウモロコシを蒸して添える。
ミステリアスな「乳化」を促すスパイスは?
人は少々ミステリアスな部分があるほうが魅力的だと思う。明かせない、明かさない秘密がひとつやふたつあるからこそ、興味をそそられることもある。
行きつけのバーの常連客であるAさんは、毎週月曜と土曜にギネスビールを飲みにやってくる。すらっとして品のいい中年男性で、年に3度、アイルランドを旅し、これまでに1000軒以上のパブを訪ね歩いている。クラシック音楽が好きで、ウィーンに足を伸ばすこともあるという。かつてはバリバリ働いていたが、今は仕事をしていない、ようだ。僕も面識があり、たまに遭遇したときには、フィッシュ&チップスをぱくつきながら、彼からさまざまな話を聞くが自分の素性については全く語らない。魅力的な人である。
ただ、料理や食品に関しては、ミステリアスでないほうがいい。最近は、自分の食べているものの正体をちゃんと知りたいと思う人が増えているんじゃないかな。スーパーでパッケージ裏の原材料をチェックする姿を昔よりも目にするようになった。かく言う僕も原材料チェックを欠かさない。極端な健康志向というわけではない。自分の食べているもの、おいしいと感じるものの正体を知りたいという好奇心からだ。
あるとき、ふと「ドレッシングっていったい何なんだろうか?」と疑問を持った。油と酢を混ぜ合わせた食品であることは知っていたが、調べてみると、マヨネーズもドレッシングの仲間と分類されているようだ。そして、ドレッシングもマヨネーズもスパイスでフレーバーをつけるのが常套手段である。なるほど、それなら得意分野じゃないか、ということでマヨネーズを作ってみることにした。
マヨネーズを手作りする時のポイントは、「乳化」という反応である。簡単に言えば、水分と油分を融合させること。頑張って混ぜればいいのかというとそうでもない。乳化を促進させるアイテムがある。それが、卵黄であり、練りマスタードである。ああ、だからマヨネーズには卵の黄身が入るのか! おっと、油ってかなりの量が入ってるんだな。そんなことを発見しながら調べを進めるのは面白い。まさに自分が口にするものの正体が明かされていくからだ。
マスタードが活躍することも知らなかったが、それ以上に驚いたのは、パプリカパウダーが乳化を促進させるということだった。パプリカパウダーは僕の大好きなスパイスである。鮮やかでいながら深い赤色を持ち、香ばしい匂いがある。カレーを作るときにはつい多めに入れてしまいたくなるスパイスだ。これをマヨネーズに使ったら、自分のよく知るマヨネーズとは違った色味と風味に仕上がるはずだ!
興奮しながら材料に加え、せっせとマヨネーズ作りを進めた。みるみるうちにオレンジ色のマヨネーズができあがっていく。これは楽しい! 心が躍るのがわかった。目の前に現れた、見たことのない色味のマヨネーズは、抜群のおいしさ。いつものマヨネーズより明らかに香ばしさがアップしている。砂糖やハチミツを入れたわけでもないのに、ほんのり甘みを感じるのもいい。混じり気なしの上品なマヨネーズだ。これなら何につけてもおいしくなる。まもなくシーズンが終わりを迎えてしまうトウモロコシを蒸して添えてみることにした。うまい~。ついつい、たくさんつけてしまいたくなる。
食べながらふと思った。いつもあのバーで食べているフィッシュ&チップスにもこのパプリカマヨネーズをつけてみたい! 今度、持ち込んでみようかな。そのときAさんがいたら、そっとこのマヨネーズを出してみよう。隠していた秘密のひとつやふたつは語ってくれるかもしれない。
◆トウモロコシとパプリカマヨネーズ
【材料・作りやすい分量】
卵黄 1個
白ワインビネガー 大さじ1杯(15ml程度)
塩 小さじ1/2杯(4g程度)
練りマスタード 10g
ブラックペッパー(粗挽き) 小さじ1/8杯
パプリカパウダー 小さじ1/2杯
サラダ油 100ml
トウモロコシ 1本
【作り方】
ボウルに油以外のすべての材料を加えて混ぜ、塩を溶かす。サラダ油を少しずつ、少しずつ、加えながら、ねっとりするようによーく混ぜ合わせる。トウモロコシを蒸して添える。