モテるハーブの意外な顔ラムチョップBBQ

水野仁輔のスパイスレッスンVol9

◆ラムチョップのBBQ焼き・ローズマリー風味
【材料】
ラムチョップ 4本
マリネ用
・プレーンヨーグルト 大さじ2杯
・ローズマリー(みじん切り) 2枝分
・塩 小さじ1/2杯
・にんにく(すりおろし) 小さじ1/2杯
・粉チーズ 大さじ1杯
【作り方】
  マリネ用の材料をすべてボウルで混ぜ合わせ、ラムチョップに塗り込んで15分ほど置き、魚焼き用のグリルで12~3分ほど焼く。

ハンサムが演じる三枚目は最強説

 二枚目の男子に三枚目を演じられたら、もうお手上げだ。

 最近、カレーを紹介するテレビ番組で共演させてもらった役者さんが完全にそのパターンだった。恐ろしくハンサムなのに黒ぶちメガネをしてハンサムを前に出さない。しゃべったらとにかく面白い。モテるに決まってる。ずるい、三枚目を演じる二枚目はずるすぎる……。

 このことを最初に実感したのは、高校時代だった。何を間違えたか、県下有数の進学校に通うことになった僕は、同級生の男子にハンサムなやつが山ほどいることにすぐに気がついた。頭がよくてかっこいい。そして、仲良くなっていけばいくほど彼らが人前でおバカなふるまいばかりするのが目についた。じっとしていればいいのに徹底的に三枚目な行動を繰り返す。道を1本挟んだ隣の高校の女子からモテまくっていた。僕はふてくされて部活の練習もサボり、麻雀に明け暮れた。あの時に学んだことは大きい。

モテるハーブはローズマリー

 ローズマリーは、ハーブの中で最も二枚目な存在なのかもしれない。まず姿がキリリとしている。薄緑色の茎にびっしりとついた葉は力強い深緑色をしている。太く短い針のような形をしていて、まるで「細く長く生きる人生になんか興味ないぜ」といった具合でかっこいい。

 香りの強さもハーブの中でも群を抜いている。鼻に近づけて思い切り息を吸い込んだらせき込んでしまいそうなほど、すっと爽やかな香りをあたりに放ちまくっている。そして、ちょっとやそっとのことではへこたれないほど頑丈だから、育てようと思ったら苗を買ってきてベランダに出して放置しておくだけで、気がつけばモリモリと成長している。

 そういえば、好きな男性のタイプを聞かれて、「生命力の強いヒト」と言っていた友達がいたっけ。ローズマリーは確実にモテるハーブなのだ。 だから、ローズマリーを使って料理をするときは、茎ごと2~3本を肉や野菜と一緒にオーブンにでも突っ込んで焼けばいい。直接ローズマリーを口にすることなく、その香りを堪能できるのだ。

 バーベキュー(BBQ)なんかをするときには、何本か持っていくだけで重宝されるに違いない。せっせと肉を焼いている横で、気まぐれにローズマリーをちぎって散らす。あたりにかぐわしい風が巻き起こり、そこにいるみんなを幸せにすることができるだろう。

みじん切りにして隠し味に

 でも、それでは、ローズマリーを二枚目のまま使っているに過ぎない。二枚目には三枚目を演じてもらう必要があるのだ。そこで僕はたたずまいの美しいローズマリーをまな板にのせ、「ごめんよ」と言いながら包丁でできるだけ細かく刻む。それがローズマリーだったことを誰も想像がつかないくらいのみじん切りにしたら、ヨーグルトやなんかと混ぜておこう。 相性がいい肉はラムチョップだと思う。塗り込んでマリネしたら、密閉袋にでも入れて、いざバーベキューへ。焼けばおいしいことは僕が保証する。せっかくだから焼く前のプレゼンテーションも楽しんでほしい。

「なに? ラムチョップ? どうしてこんな色をしているの?」

「ちょっとハーブでマリネしてね」

「なんのハーブ? あ、ローズマリーだ!」

「正解!」

「ローズマリーってこんなふうにみじん切りしても大丈夫なのね」

「そのままじゃ二枚目すぎるからね、三枚目を演じてもらったのさ」

「すてき♡」

 ま、きっとそんなふうにはいかないね……。

◆ラムチョップのBBQ焼き・ローズマリー風味
【材料】
ラムチョップ 4本
マリネ用
・プレーンヨーグルト 大さじ2杯
・ローズマリー(みじん切り) 2枝分
・塩 小さじ1/2杯
・にんにく(すりおろし) 小さじ1/2杯
・粉チーズ 大さじ1杯
【作り方】
  マリネ用の材料をすべてボウルで混ぜ合わせ、ラムチョップに塗り込んで15分ほど置き、魚焼き用のグリルで12~3分ほど焼く。

水野仁輔
水野仁輔(みずの・じんすけ)
カレー&スパイス研究家

 1974年静岡県浜松市生まれ。99年に男性12人の出張料理集団「東京カリ~番長」を結成。各地で食のライブキッチンを開催するほか、世界のスパイス料理やカレーのルーツを探求中。著書は40冊を超え、近著に「水野仁輔 カレーの奥義」(NHK出版)、「スパイスカレー事典」(パイインターナショナル)など。2016年にスパイスをレシピとともに届ける「AIR SPICE」を設立。