遊び心満載「wagashi asobi」自慢したくなる手土産

ごほうびフード×ぐるなび

 人知れず頑張っているあなたへ。すてきなレストランやワンランク上の手土産など、女性にとって最高の“おいしいごほうび”情報をお届けします。

従来のイメージを覆す“まちの和菓子屋さん”

 18日は父の日だ。誰かに教えたくなるような、意外な組み合わせが魅力の和菓子がある――そんな情報を頼りに訪れたのは、東急池上線・長原駅から歩くこと1分、グリーンが植えられたカフェのようなたたずまいの「wagashi asobi」。入り口すぐの小さなテーブルには、目当ての「ドライフルーツの羊羹ようかん」と「ハーブのらくがん」が静かに出迎えてくれた。

 2011年にオープンした同店のコンセプトは、「一瞬一粒ひとつひとつおもいを込めてつくる」。「大量生産ではなく、職人の手で丁寧に作った自慢の商品を、何より地元の方々にかわいがってもらいたかった」と話すのは、共同代表のひとり、稲葉基大もとひろさん。老舗和菓子店で20年研鑽けんさんを重ね、6年前に独立。現在は稲葉さんを含め、4人の和菓子職人とともに店を切り盛りする。

 なぜ、商品が2種類だけなのだろうか。「店を始める際、共同代表である浅野理生りおと『自信作を出そう!』と決めたんです」と稲葉さん。お互いに1種類ずつ持ち寄ったのが、現在販売している「ドライフルーツの羊羹」と「ハーブのらくがん」。「初めて食べたときの“おいしい”という感動を、2回目、3回目も超えられるように。また食べたいと思ってもらえるようなクオリティーでありたい」との思いから、新商品の開発に時間を割くより、この2種類の原材料や手法の刷新を図ることを優先し続けるのだ。

開店当初から変わらない二つの自信作

ドライフルーツの羊羹

 早く食べてみたい気持ちを抑えて足早に自宅へ帰り、早速「ドライフルーツの羊羹」を切り分けた。通常の羊羹よりも薄めの1センチほどの幅が、稲葉さんのおすすめだ。
 まずは、まるで抽象画のような断面の美しさに嘆息が漏れる。「クルミは雲のような形に、イチジクの花にあたる粒やイチゴの赤は、みずみずしい生命力をイメージしています」(稲葉さん)。刃を入れる場所によって見え方が違うのも面白い。
 誕生のきっかけは、友人から「パンと相性が良い和菓子を作ってほしい」と依頼されたこと。パテやテリーヌのような羊羹を目指して試案を重ね、完成したのがこの羊羹だった。
 口に入れると「プチプチ」「コリコリ」と音が鳴り、クルミやイチジクの食感が楽しい。北海道産の小豆を使ったあんと沖縄県西表産の黒糖、ドライフルーツの味を最大限に引き出すラム酒で炊き上げた、なめらかで優しい甘みの羊羹とのハーモニーが絶妙だ。
 「バゲットとクリームチーズにのせると美味おいしい」、「ワインとも相性が良いよ」と、お客さまが楽しみ方を広げてくれるのだそう。試しにお気に入りのハーブティーと合わせてみると、ドライフルーツやラム酒の香りと溶け合って、また新たな味わいが広がる。

ハーブのらくがん

 「ハーブのらくがん」もまた、従来の落雁らくがんのイメージを覆す商品。口の中の水分が奪われてぱさぱさになってしまうのを心配しつつ、「ローズマリー」を一粒……心配は杞憂きゆうに終わった。舌の上でほろりと溶け、ハーブのさわやかな香りが鼻に抜けてゆく。なめらかな舌触りの秘密は、きめ細かい砂糖を使用していること。空気を多く含ませながら優しく型押しすることで、軽やかな口どけになるのだという。
 前職でニューヨークの和菓子店で勤めていた頃、現地で食べたグリルドチキンに載ったローズマリーの葉から着想してできたのが「ローズマリー」のらくがん。帰国後、アロマセラピストの友人のアドバイスを受けつつ、リンゴに似た風味が特徴的な「カモミール」や鮮やかなピンク色が目にも楽しい「ハイビスカス」も誕生。それぞれのハーブ特有の香りを楽しめる人気商品となった。
 ハーブのほかにも、愛知県西尾産の茶葉を使用した「抹茶」、ユズの皮と実が香る「ゆず」、女性人気が高い「いちご」とカラフルなラインアップ。皿の上にずらりと並べ、紅茶をお供に「どれにしようか」と選びながら大人数でわいわいと午後のひと時を過ごすのも楽しそうだ。
  自分だけで味わうだけではもったいない。思わず誰かに教えたくなる、遊び心満載の和菓子にすっかり夢中になってしまった。

地元・長原から新しい「和」を広げる

稲葉さん

 稲葉さんの和菓子にかける情熱の源流は、ニューヨーク勤務時代の6年間にある。「外国の方が興味を示すのは、和菓子に込められたおもてなしの心。和は和、洋は洋と分断して考えるのではなく、互いの文化の影響を受けながら進化していきたい」と熱を込める稲葉さん。独立開業が少ないといわれる和菓子職人の参考になればと、「wagashi asobi」の歴史や自身の経験などを著書『わがしごと』(コトノハ刊・2052円、税込み)

にまとめたり、さまざまなワークショップを手がけるなど、和菓子業界の未来を見据えた活動も続ける。
 「地元の方が自慢できるような銘菓をつくりたい」と語る稲葉さんは、この地域の出身だ。うわさを聞きつけた遠方からのお客さんも多いが、近隣住民が地元の手土産として使ってくれることが何よりもうれしい。評判は広がり、「ドライフルーツの羊羹」が平成28年度「大田のお土産100選」に選ばれるなど、その願いは着実にかなえられている。古き良き伝統を絶やさず、概念にとらわれず、新たな魅力を探し続ける。

【メニュー】
ドライフルーツの羊羹 2,160円(税込み)
ハーブのらくがん(4粒入) 各種360円(税込み)

[店名] wagashi asobi
[住所] 東京都大田区上池台1-31-1-101
[営業時間] 10:00~17:00
[定休日] 不定休 ※イベント等で不在の場合がございますので、ご来店の際は事前にお問い合わせください。
[ホームページ]  http://wagashi-asobi.com/