ウェレンドルフのジュエリーが教えてくれる真のラグジュアリー

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  真のラグジュアリーとは何か? その答えを求めて、ドイツを代表するジュエラー、ウェレンドルフの本社を訪ねました。ドイツ南西部のプフォルツハイムで1893年に創業。4代続くファミリービジネスは、熟練したゴールドスミス(金細工職人)による手仕事によって支えられていました。奇をてらうのでもなければ、華美を強調するのでもない。アトリエで見たモノ作りは実直そのもの。世界各地の王室や富裕層に支持され、日本でもファンの多いウェレンドルフのジュエリーの魅力をお伝えしましょう。

真骨頂は、目に見えない部分でも手を抜かないモノ作り

 3代目のハンスペーター・ウェレンドルフさんの次男で、工場管理など商品の品質面を主に担当するゲオルグ・ウェレンドルフさんが今春、来日した際、一冊の本を手渡されました。サン・テグジュペリの「星の王子さま」。「かんじんなことは、目には見えない」と王子が言っているページに付箋ふせんがはってありました。「私たちがジュエリーを通してお客様に伝えたいことも同じなのです」とゲオルグさんは話します。「見た目の華やかさに目がひかれがちな宝飾品ですが、私たちのモノ作りの特徴は目に見えないところにも力を注いでいることです」

ジュエリーのデザインから組み立てまで、一つひとつの作業がドイツのアトリエで行われている (C)Wellendorff

 例えば、1997年に発売されたマジックリング。リングの外周が滑らかに回るウェレンドルフならではの商品です。ドイツには指輪を3回まわすと、願い事がかなうという言い伝えがあります。そこから着想して商品は開発されました。滑らかに回転するパーツの接合部分の隙間はわずか0.03ミリ。髪の毛の直径が0.15ミリなので、かなり繊細な構造になっています。ゴールドスミスたちは顕微鏡をのぞきながら、慎重にパーツを組み立てていきます。その工程そのものが「マジック」のようです。

 しかも、一定の範囲内ならサイズ直しにも無償で応じています。もちろん、サイズ直しをしてもリングは滑らかに回る。こうした「目には見えない」部分がウェレンドルフというブランドの魅力となっています。

ゴールドスミスたちの技術が凝縮されたシルクコーデル

 金の糸をひねり上げてネックレスやブレスレットにする「シルクコーデル」にもウェレンドルフのモノ作りの技術が凝縮されています。18金のバーをローラーで何度も引くことによって、直径0.2~0.3ミリの金糸に加工します。それを細い鉄の棒に巻き、螺旋らせん状になったものを束ねてひねると、シルクのように滑らかな手触りになります。「プリンセス」と名付けられたネックレスに必要な金糸の長さは最短でも160メートル。もちろん、全工程が手仕事です。洗練された意匠に加え、しなやかな着け心地という「目には見えない」部分が商品の特長になっています。

18金のバーから、滑らかな手触りの「シルクコーデル」が生まれる (C)Wellendorff

 1977年に最初のサンプルができたシルクコーデルには、ハンスペーターさんの妻エヴァさんの子供時代の思い出が反映されています。「楽しい時間を過ごした部屋を彩っていたシルクのカーテンのタッセルの肌触りを思い出させてくれるようなネックレスを作ってほしい」と夫に伝えたことが商品開発のきっかけとなりました。

首元に優しく寄り添うネックレスにはゴールドスミスの熟練した技術が凝縮されている (C)Wellendorff

家族たちの交流から生まれるハイジュエリー

 ウェレンドルフでは、このように家族の温かな交流が商品開発に結び付くことが多いようです。「市場調査をして、今こんなデザインが流行しているから、作ってみようというマーケット優先の企画ではありません。家族を大切にし、愛する人へジュエリーを贈る思いを何よりも大切にしているからこそできるモノ作りなのです」と本社で迎えてくれたハンスペーターさんが話してくれました。

 ウェレンドルフが独自に開発したエナメル加工法もそうした家族の交流から生まれました。透明性と耐衝撃性が特長で、リングが何かの衝撃で変形してしまったとしても、エナメルが割れたり欠けたりすることはないといいます。この装飾は「壊れない愛」を象徴しています。

美しいエナメルの装飾が指輪の華やかさを引き立てる (C)Wellendorff

様々な超絶技巧が施された新作リング「Euphoric Heart

 ハンスペーターさんの長男で4代目当主のクリストフさんと、ゲオルグさんの妻でブランドのPRを担当しているクラウディアさんを含め、ウェレンドルフファミリーはアトリエ近くにある自宅で、そろって昼食をとることが日課となっています。「そこで商品のデザインを話し合ったり、経営方針を見直したり。商品開発についてもとことん話し合います」と3代目夫人のエヴァさん。彼らの孫たちも家業に関わり始め、実直なファミリービジネスによるウェレンドルフはこれからも世界中で愛されるジュエリーブランドとして長い歴史を刻んでいきそうです。

ウェレンドルフのファミリー。左から4代目当主クリストフさん、3代目夫人エヴァさん、3代目ハンスペーターさん、PR担当クラウディアさん、工場管理担当ゲオルグさん (C)Wellendorff

 ドイツの本社には約100人の社員がいて、その7割がゴールドスミス。80歳代のベテランもいます。彼らの高度な技術が他社のまねできない商品を生み、ウェレンドルフの名声を支えてきました。こうした卓越した技術の詰まった逸品が、今年の新作リング「Euphoric Heartユーフォリックハート」。日本語に直訳すれば「陶酔する気持ち」。ダイヤモンドやシルクコーデルを組み合わせ、身につけた女性の心躍る気持ちを引き立てます。明るいブルー系のグラデーションも鮮やか。さらに青く透き通るハートを満たすエナメルは、特別な彫金の超絶技巧を駆使することでクリスタルのように輝きます。リングは5層になっていて、もちろん滑らかに回転します。

世界で126個を限定発売する新作リング「Euphoric Heart」 (C)Wellendorff

 ウェレンドルフの創立126周年を記念して、世界で126個の限定販売。この指輪を手にすることのできた幸運な女性は、ゴールドスミスたちのクラフツマンシップが凝縮されたリングの美しさに文字通り「陶酔する」ことでしょう。

(YOMIURI BRAND STUDIO Creative Editor/Writer 高橋直彦)

問い合わせ先
ウェレンドルフ 東京ブティック
TEL:03-6434-8070 ※11:0019:00
公式サイト https://www.wellendorff.com/