ジュエリーに宿す秘密。私だけが知る悦び

ジュエリーに仕組まれた様々な「謎」が、身につける女性の美しさを引き立てる。(c)Van Cleef & Arpels

 高級ブティックや老舗ホテルが軒を連ねるパリ・ヴァンドーム広場。1906年、その一角で生まれたメゾン「ヴァン クリーフ&アーペル」が今年の新作コレクションを発表した。パリでの展示会は7月上旬、秋冬オートクチュール・コレクションの期間中に開かれ、絢爛たる新作の数々が世界各地から集まったモード関係者らを魅了した。

作品に仕組まれた「謎」

 今コレクションのテーマは「ル スクレ」。フランス語で「秘密」を意味する。今回発表された108点のきらびやかなジュエリーに、「マンドール(黄金の手)」と呼ばれるメゾン専属の職人たちによって精巧な「秘密」がさりげなく仕組まれている。宝石を支える爪がほとんど目立たない「ミステリー・セッティング」という技術で知られるブランドらしい「謎解き」を来場者たちは楽しんだ。

詩の一節を刻印

 例えば、「フルール ブルー リング」という大振りな指輪。5.13カラットのクッションカットのビルマ産サファイヤをセッティングした中央部分を90度回転させると、それが持ち上がり、台座部分に「愛のない人生は、陽の当たらない庭のようなものだ」というオスカー・ワイルドによるフランス語の詩の一節がエングレービング(彫刻)されている。この指輪の所有者と極親しい人だけが目にすることのできる甘美な秘密だろう。

フルール ブルー リング
ホワイトゴールド、ダイヤモンド、エメラルド、パライバ風トルマリン、クッションカット サファイア1石(5.13カラット、ビルマ産)   (c)Van Cleef & Arpels

花の中から蝶が飛び立つ

 あるいは「ペダル ド パピヨン クリップ」。イエロー&モーヴ サファイヤがセットされた花びらの中に、一匹の蝶が隠れていて、それは独立したクリップになる。繊細な曲線が美しく、茎部分にちりばめられたペアシェイプのダイヤモンドはブランドらしい細部への思い入れが表現されている。

ペダル ド パピヨン クリップ イエローゴールド、ホワイト・ダイヤモンド、イエロー&モーヴ・サファイア、エメラルド、スペサイト&ツァボライト・ガーネット、オニキス、スギライト   (c)Van Cleef & Arpels

 技が凝縮された優雅な恋占い

 「マルグリット ダムール クリップ」は、デイジーの花びらを散らしながら行う恋占いにオマージュを捧げた作品だ。スノーセッティングのダイヤモンドがちりばめられた15枚の花びらは一部を裏返すことができ、そこには「Tendrement(優しく)」「A la folie(夢中)」などフランス語のメッセージが刻まれている。その手順を文章で説明するとシンプルに思えるが、繊細な花びらを引き抜いて裏返し、それを花芯にセットするメカニズムには、このメゾンならではの熟練した匠の技が集約されている。

マルグリット ダムール クリップ
イエローゴールド、ホワイトゴールド、ダイヤモンド、オレンジ&ピンク・スピネル  (c)Van Cleef & Arpels

「秘密」には伝統的な背景が

 ほかにも、オウムをモチーフにしたクリップの翼の下にかわいらしいひな鳥が隠されていたり、ブレスレットを覆う蝶の羽根を動かすと時計の文字盤が現れたり……。こうしたユニークなテーマのコレクションはどのようにして生まれたのだろう?

 「ジュエリーにおける『秘密』には伝統的な背景があるのです」。ヴァン クリーフ&アーペルCEO(最高経営責任者)のニコラ・ボス氏がパリの新作展示会場でそう説明してくれた。「ジュエリーには、所有者の美意識などを外に向けて表現できるのと同時に、個人的なメッセージを刻印し、それをあえて隠すことで自分だけの秘め事としても楽しめるのです」

ニコラ・ボス ヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEO。2000年クリエイティブディレクター兼マーケティング ディレクターとして、ヴァンクリーフ&アーペルでのキャリアをスタート。店舗コンセプトやブティックの国際的ネットワークの構築、腕時計の制作などに従事。10年に米国プレジデント、13年から現職。(阿部泰三撮影)

伝統を踏まえて表現

 また、20世紀初頭まで、女性が腕時計をつけることがエレガントではないとされていたこともあって、仕掛けによって時計の文字盤を隠してブレスレットとして使っていたこともあったという。「今回のコレクションではそれらの伝統を踏まえ、象徴的なモチーフに反映させることで、『秘密』を表現しているのです」とボス氏は話した。

コレクション完成までに4年の歳月

 もっとも、その制作過程は容易ではなかったらしく、「私たちの誇るクラフツマンシップをもってしても、今コレクションには約4年の歳月がかかりました」とボス氏は振り返る。「ヴァン クリーフ&アーペルは、今後もコレクションを通じて、スタイル、デザイン、クラフツマンシップの伝統を守りながら、詩的で斬新、そして輝かしいジュエリーを表現していきます。日本の女性の皆さんにも、そうした私たちの世界観を是非感じてもらいたいと思っています」

(広告局 クリエイティブチーム専門委員 高橋直彦、パリ駐在 阿部泰三)

 

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク

フリーダイヤル:0120-10-1906

公式サイト:www.vancleefarpels.com

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