ブレゲ 王妃に愛された時計

マリ・クレール スタイル

ブレゲ クイーン・オブ・ネイプルズ 8918[自動巻き、ケース36.5×28.45mm、ホワイトゴールド×ダイヤモンド、アリゲーターストラップ]/予定価格405万円(税抜き)(ブレゲ/ブレゲ ブティック銀座)(c)BREGUET

機械式時計は、18世紀末に現れた一人の天才によって長足の進歩を遂げました。彼の名は、アブラアン-ルイ・ブレゲ。現在の時計ブランド「ブレゲ」の創業者です。

1775年にパリのシテ島に工房を開いた初代ブレゲは、それまでなかった時計機構を次々と生み出していきます。自動巻き機構のペルペチュエル、耐衝撃吸収装置パラシュート、音で時刻を知らせるリピーター用のゴングなどなど。当時の最先端を行く「ブレゲ」の時計は、多くの人を魅了しました。

パリのヴァンドーム広場にあるブレゲ・ミュージアムに大切に保管されている台帳には、初期にルイ16世とその妻マリー・アントワネット、フランス革命後にはナポレオン・ボナパルトとその一族といった、そうそうたる顧客が名を連ねています。ナポレオンの妹で、ナポリ王妃となったカロリーヌ・ミュラは、特に熱心な「ブレゲ」のファンでした。そして台帳には、王妃が1810年6月8日付で発注した「ブレスレット用の楕円だえん形リピーターウォッチ」との記載が見つけられます。これこそが、記録に残る世界初の腕時計。初代ブレゲは、腕時計の発明者でもあったのです。

現代の「ブレゲ」は、この史実に敬意を表し、オーバル型の“クイーン・オブ・ネイプルズ”コレクションを創り出しました。これは、その最新作です。117個ものダイヤモンドが取り囲むダイヤルには、800度の高温で焼き上げる伝統的なグラン・フー・エナメルの技法を用い、しっとりとした豊かな質感のホワイトをかなえています。下にオフセットした先端にリングが備わる針は、初代が考案したメゾン伝統の形状。その周囲には、やはり初代がデザインしたアラビア数字の書体をデフォルメして配し、リズミカルな躍動感を添えています。この数字やロゴなど白いダイヤルを彩る針以外のブルーにも、グラン・フー・エナメルの技法を駆使。初代が創出した王妃のための腕時計は、彼の意匠と当時と同じ技法を受け継ぎ、美しく現代的に再解釈されました。

(c)marie claire style/text:Norio Takagi

髙木教雄(たかぎ・のりお)
ライター

 1962年生まれ。ライター。時計を中心に建築やインテリア、テーブルウェアといった「ライフスタイルプロダクト」を取材対象に専門誌や雑誌で幅広く執筆。スイスの新作時計発表会の取材も、99年より継続して取り組んでいる。独立時計師フランソワ・ポール・ジュルヌ著『偏屈のすすめ。』(幻冬舎)の監修・解説も担当。

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