前田エマ「アートのとなり」…あの時を、いま

マリ・クレール スタイル

前田エマ《landscape4》2020年 (c)Emma Maeda

こんにちは。心狭くなるような日々が続いていますね。新型コロナウイルス感染の被害拡大を阻止すべく多くの美術館が休館、芸術祭やアートイベントも延期や中止になっています。今年の3月から開催予定だった、私も参加する芸術祭「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020」も、延期が決まりました(21年春に開催が決定)。そんな中、「3331 ART FAIR 2020」というアートフェアは規模を縮小し、完全予約制というカタチで決行されました。私は、絵画作品を出展しました。

前田エマ《landscape3》2020年 (c)Emma Maeda

今回のいろいろな動きをみていると、東日本大震災のことを思い出します。あの日は、私の高校の卒業式の翌日でした。美術大学に進学することが決まっていた私は、これから始まる学校生活へのワクワク感と、「いったい自分は何を学ぶのだろうか? アートに出来ることって、何かあるのだろうか?」と不安に似た、いらだちのような思いを持っていた気がします。そして、世の中の大人の立ち居振る舞いを、敏感に観察していたように思います。

その時、私の心を救ってくれた絵本がありました。『フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし』(レオ・レオニ著)という本です。『スイミー』の著者の本です。先日、この本を翻訳された谷川俊太郎さんとお会いする機会があったのですが、俊太郎さんも「この本は、本当にいい本だよね」とおっしゃっていました。

どんなお話かというと、仲間のねずみたちが冬に備えて食料を蓄えている間、フレデリックだけは何もしていないようにみえましたが、冬になりどんどん食料も底をつきはじめたころ、フレデリックは集めていた“言葉”で、仲間の心を照らします。私は、こういうことを出来る人になりたいと思いました。

いま、私には何が出来るのでしょうか? ワクワクするものを、心を込めてつくること。それを積み重ねていけますように。(2020年3月18日に執筆)

(c)marie claire style/text:Emma Maeda

前田エマ(まえだ・えま)
アーティスト、モデル

 1992年生まれ。東京造形大学卒業。オーストリアウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中より、モノづくりという観点から、雑誌のディレクション、ショーやイベント、ファッションブランドのモデルをつとめる。ほかにもエッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、分野にとらわれない様々な活動が注目を集めている。Now Fashion Agency所属。

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