いずれは映画監督に…エル・ファニングの素顔

マリ・クレールスタイル

photo:Thomas Whiteside

ハリウッドの若きミューズと称される女優エル・ファニング。22歳にして大女優の風格を漂わせ、ソフィア・コッポラやニコラス・ウィンディング・レフンをはじめとした世界の名だたる映画監督からのオファーが絶えない。

女優としてキャリアをスタートさせたのは、2歳のとき。同じく女優として活躍している姉のダコタ・ファニングが演じた役の幼少期を演じたことがきっかけだった。その後、いくつかの映画やドラマを経て、『バベル』や『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』といった話題作に次々と出演し、豪華キャストと肩を並べている。

14歳で挑んだオーロラ姫役で観客を魅了

女優としての自覚が芽生えたのは、2008年に出演した『フィービー・イン・ワンダーランド』でのこと。当時9歳のエルは、精神神経疾患の一種であるトゥレット症候群の少女という難しい役どころに挑戦した。撮影前には、役作りの研究を兼ねて、実際に病を患う子供たちと対面することとなるが、その体験によって演じることの意味を知る。

「彼らに会ったとき、頭の中で何かがカチッとはまったの。それが、『演技とは、他人の人生を表現することであり、正しく伝えるには責任が伴う』ということを初めて理解した瞬間だったのよ」と話す。

着実にキャリアを積み重ねていくエルは、ディズニー映画『マレフィセント』にも出演。魔女マレフィセント役のアンジェリーナ・ジョリーに対して、エルはオーロラ姫役で透明感と純粋さを見事に表現し、観客を魅了する。昨年公開された続編『マレフィセント2』では、新たな喜びもあったと興奮を隠せない。

「14歳で挑んだ1作目の撮影のときと比べて大きく変わったのは、アンジェリーナとの関係性。彼女に子供として扱われなくなったのは、私にとってすごくエキサイティングなことだったわ」

幼少期から撮影現場という刺激的な場所を経験し、ホームスクールで育ったエル。しかし、高校生になって学校に通い始めると、周囲との違いに悩んだこともあったという。

「自分のエキセントリックでヴィンテージなファッションが、他の生徒たちから浮いていることに気が付いたの。だから、一時はファッションスタイルを変えようと努力したのよ。でも、それでは私らしくなかったし、そもそも似合わなかった。私はノスタルジックな性格だから、ヴィンテージや昔の映画が大好きなの。生まれる時代を間違えたんじゃないかと思うくらい」と冗談交じりに語った。

他人に流されることなく、自分の個性を貫いてきたからこそ、誰にもまねできない独特な空気感を身にまとっているのもうなずける。役を演じるうえでも、その個性を存分に発揮しつつ、どんなキャラクターにもなれるのが最大の魅力。事実、トランスジェンダーの主人公から実在の女性作家、さらには異星人の美少女まで役柄は幅広く、エルでなければいずれの役も演じられないとさえ感じさせる。また、スター歌手を夢見る少女を演じ、今年の1月に日本でも公開された『ティーンスピリット』(5月5日先行デジタル配信開始、6月5日DVDリリース)では、圧巻の歌声も披露。役をつかむために、ボイストレーニングに励んだというが、内に秘めた可能性はどこまでも広がっている。

共演経験のある女優ニコール・キッドマンも、「レオナルド・ディカプリオのような、生まれついての並外れた才能の持ち主」とエルの演技力に対する称賛を惜しまない。そして、「エルは同世代の中で最も素晴らしい女優」と絶賛するブレット・ヘイリー監督は、最新作『最高に素晴らしいこと』でエルを主役に起用。2月28日よりNetflixで配信がスタートした本作では、若者が抱える心の闇が描かれている。

「若い人たちのうつや精神的な病気は、とても現実的なこと。にもかかわらず、そのことについてきちんと話す機会を私たちは避けてしまいがちだと思うわ。現実を隠したりせずに向き合い、助け合うことが大切なのよ」と言い切った。

フォロワー数420万人、SNSへのこだわり

現在、インスタグラムでも情報を発信し、420万人を超えるフォロワー数を誇るエルだが、そこにも彼女なりのこだわりがあるという。

「SNSを楽しんではいるけれど、一方で深みにはまりすぎてしまうことや他人の人生と比較してしまうことの危うさも感じているの。だから、私はあえて、公開される映画や写真撮影について触れる程度にとどめるようにしているのよ」

ジャケット/40万8000円、ブラウス/10万5000円、パンツ/19万円(すべて予定価格、プラダ/プラダ クライアントサービス)

あらゆる状況を冷静かつ客観的に見ることができ、自己管理能力の高さもうかがわせるエルは、その能力を生かすかのように、近年は女優業に加えて製作者としても作品に関わり始めた。Huluオリジナルドラマ『The Great(原題)』(日本配信未定)では、ロシアの女帝エカチェリーナ2世を演じるだけでなく、プロデューサーも務めている。いずれは、映画監督としてインタビューを受けたいと打ち明けるエル。

「そのときは、もしかしたら35歳くらいになっているかもしれないわね。でも、私の顔はきっと今とあまり変わらないような気がするわ!」と笑う。

彼女が思い描く夢は、同時に世界中の映画ファンの夢でもある。これからも、私たちはエルのあふれる才能と魅力のとりことなり続けるのだろう。

marie claire style/text:Masami Shimura/photos:Thomas Whiteside

【公開情報】
Netflix映画『最高に素晴らしいこと』独占配信中
『ティーンスピリット』5月5日先行デジタル配信開始
6月5日DVDリリース(KADOKAWA)

エル・ファニング(Elle Fanning)
女優

 1998年、アメリカ・ジョージア州生まれ。2001年に2歳で出演した映画『アイ・アム・サム』で女優デビュー。その後、『SOMEWHERE』や『ネオン・デーモン』など、数々の話題作に出演を果たす。最新作には、第70回ベルリン国際映画祭に出品された『The Roads Not Taken(原題)』がある。また、「ミュウミュウ」や「ロレアル パリ」のキャンペーンにも起用されており、ファッションアイコンとしての注目度も高い。

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