洗練された大人の魅力、鈴木京香を輝かせているもの

マリ・クレール スタイル

photo: Yusuke Miyazaki〈SEPT〉

洗練された大人の女性と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、上品なたたずまいと凜(りん)とした美しさを誇る女優の鈴木京香。これまでも、幅広い役柄で多くの観客を魅了し続けてきた彼女だが、2019年のドラマ「グランメゾン東京」で演じたのは、三つ星レストランを作り上げることを目指す女性シェフの早見倫子。挫折を経験しながらも、自らが信じた道を全力で突き進む姿に、働く女性たちから共感の声が上がった。

いくつになっても照れるくらい熱くなれるのは素敵なこと

「同世代の女性として、どうやって倫子を演じようかとはじめは悩みましたが、“分別のある大人”というよりも、長年の夢がかなうことに対する喜びを素直に表現する女性にしようと決めました。倫子のように、分け隔てなく人と接し、それぞれの役割の大切さを理解している人が職場にいたら、物事も円滑に進むと思うので、そういうところは見習いたいです」と役への思いを語る。

劇中では仲間との絆やチームワークの大切さが描かれているが、それは撮影現場でも同じこと。

「大人になると、夢を語ったり、目標に向かってがんばったりすることは少なくなりますが、いくつになっても照れるくらい熱くなれるのはステキなことですよね。実際に、キャストとスタッフが一丸となって、面白いドラマを作っている実感がありました」

photo: Yusuke Miyazaki〈SEPT〉

なかでも、細部にまでこだわっているのは料理のシーン。

「食に興味のある人が見ても“?”にならないように、試行錯誤を繰り返し、かなり時間をかけています。しかも今回は、主演の木村拓哉さんをはじめ、キャストみんなでアイデアを出し合いながらレストランの装飾や食器まで決めていったので、本当に自分たちのお店を作っているような感覚でした」

さらに、30年以上三つ星を守り続けるパリの名店「ランブロワジー」での撮影で得た収穫も大きかったという。「テーブルのお花がとてもかわいらしく、それもシェフ自らの手で飾っていると聞いて、お店の演出すべてがシェフの考え方を表し、お料理のイメージに通じているのだと驚かされました。そんなふうに、パリでのロケを通して見たり聞いたりしたことが、ドラマの私たちのお店でも生かされていると思います」と舞台裏を明かす。

いいものを作るためには、鈍感ではいられない

仕事に対して努力を惜しまないがゆえに、長きにわたって第一線を走り続けてこられたのも頷(うなず)ける。しかし、「私は女優のお仕事を始めて30年以上になりますが、さまざまな出会いなくしてここまで来ることはできませんでした。こうしていられることも、奇跡だと思っています。自分一人ではできない仕事でもあるので、そういう意味では、倫子と同じように人との出会いにつねに感謝しているんです」とあくまでも謙虚な姿勢を崩さない。

尊敬する先輩のみならず、子役や若手俳優たちからも刺激を受けることが原動力になっているというが、年齢やキャリアにとらわれることなく、すべてにアンテナを張り巡らせていることこそが、彼女自身を輝かせている秘訣(ひけつ)なのだろう。

(c)marie claire style/photo: Yusuke Miyazaki〈SEPT〉

「何事においても、日頃から美しいものに触れて、ささやかなものでも繊細に感じ取れるように心がけています。いいものを作るためには、鈍感ではいられないですから」とほほえむ姿も美しい。

そんな彼女の美を支えているものとして欠かせないのが、やはり「食」。普段から料理に対しては意識が高いほうだという。

「おいしいものや旬のものを食べることは、五感をフルに喜ばせるいい機会だと思っています。特に、お食事に出かけるときは、オシャレもしますし、素敵な人たちとの楽しい会話を楽しみながら、新しい知識を得ることもできますよね」

心と体を満たすことが、自然な肉体美を作り上げることにつながっているのかもしれない。それは、女優としての在り方ともどこか通ずるところがある。

「たとえば『自分にはできないかも』と思うような役のオファーが来たとしても、最初から『難しいです』と逃げ腰にならず『できます。安心してください』といえるくらいしっかり受け止める姿勢でいられたら。もともと食わず嫌いではありませんが、食に関してだけではなく、仕事においても自信をもって向き合っていきたいです」と語るまなざしからも真摯(しんし)な思いが伝わってくる。

フットワークを軽く、つねに挑戦する

これだけのキャリアと実績を誇る今なお、どんなことに対しても好奇心旺盛。最後に、女性として貫きたいスタイルも教えてくれた。それは、「フットワークを軽くしておくこと」だという。

「この年齢になると、自分に似合うものや得意なものが何かはわかってきますが、そうではないものにもつねに挑戦すべきだと思っています。それは、仕事でも本でも洋服でも同じこと。気になるものがあれば、やってみるべきだし、読んでみるべきだし、着てみるべきなんですよね。あえて違うことをしてみるというのは、これから先も続けていきたいです」と穏やかな声で紡ぎだされる一言一言が心に響く。

芯の通った鈴木京香の生き方に、これからも多くの女性たちがインスパイアされることは間違いない。

(c)marie claire style/interview & text: Masami Shimura

鈴木京香(すずき・きょうか)
女優

 1968年5月31日、宮城県生まれ。89年に映画『愛と平成の色男』で女優デビュー。97年の『ラヂオの時間』では第21回日本アカデミー賞優秀主演女優賞をはじめ、数々の賞に輝く。その後も、『39 刑法第三十九条』や『血と骨』、『セカンドバージン』といった作品で高く評価され、不動の地位を確立。映画、ドラマのみならず、舞台にも活躍の場を広げている。最近では、人気ドラマ日曜劇場「グランメゾン東京」(2019年・TBS系)に出演。

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