どの角度から見ても隙がない女性的なしなやかさと健康的な肉体美を持つ中村アン。モデルとしてキャリアをスタートさせ、今では女優としても数々のドラマで活躍する彼女の魅力は、一瞬にして周りの空気を華やかにする太陽のような笑顔、そして、夜空に輝く月を思わせる静謐な表情のギャップである。
美に対するストイックな姿勢に常に注目が集まっている中村アンだが、「ディオール」日本代表のゲストとして本国パリでのオートクチュール・コレクションに招待されファッショニスタとしても憧れの的となっている。彼女のキャリアやスタイル、ファッションにフォーカスし、その美に秘められた魅力を探ってみた。
就職氷河期にモデルとしてスカウト
「小さな頃はキャビンアテンダントになるのが夢だったんです」
スカウトによって才能を発掘され、芸能界の道へと進むことになった中村アン。そんな彼女にとって就職活動は試練の時期だった。
「就職氷河期で、その夢は現実的じゃないなって考えるようになって。モデルとしてスカウトされてから、この業界に興味を持つようになったのですが、私自身、頑張れるものに出会いたかったし、始めたのなら筋を通したいって気持ちが強くありました」
芸能界入りを果たした彼女は、多忙な日々の中でも一つ上のステージにステップアップするため、厳しいトレーニングをスタートする。
「何かを変えたかったんです。そのトレーニングが自分の自信につながるし、カラダを動かすとリフレッシュして、頭もよく回るから」
今ではその健康的なボディが彼女のトレードマークとなっている。
「周りからはストイックだと評価されることが多いけれど、自分のことをストイックだとは思わない。トレーニングも食事も仕事って思えば全く苦にならないんです。でもこれが仕事ではないって思ったら我慢できないかも(笑)」
多くの人にメッセージを発信していきたい
ファッションの分野においても絶大的に支持される彼女にとって「ディオール」は特別な存在だ。
「パリのショーへと招待してもらった際にディオールの歴史を学ぶ機会がありました。今回の撮影で着たベストやバージャケットなど、そのアイテムのディテールや背景を知ることで印象が変わりました。活動的だけど女性らしさがあり、伝統的な技術を駆使して丁寧に作られるプロセスにも感動しましたね。ただ値段が高いのではなく、その価値があるんだなって。本国のスタッフはそういったアイテムにデニムを合わせたり、コーディネートにも個性を出していたのが印象に残っています」

ここ日本では個性や主体性=アイデンティティーを持つ強い女性に対して憧れを抱く女性が多いものの、まだメジャーとは言えない現状。だからこそ私たちは中村アンのようなアイデンティティーを持つ女性を求めているのかもしれない。
「大学生の頃にはモテることを意識することもありました」
そこを通過して気付かされたことがあると彼女は続ける。
「自分が自然体でいられることが大切ですね。もちろん、背伸びをする時代も必要。色々試してみて自分に合うものに出会えて今があると思います」
今回の撮影に際しては「力を抜いてやろうっていうのが私のテーマ。誌面での私を見て、こんな風に着てみたいって思ってもらえたら嬉しい」と話す。
最後に彼女が今一番挑戦してみたいことについて尋ねた。
「今まではボランティアなどに関わったことがなかったけれど、多くの人にメッセージを発信できる立場にあるのだからこそ、日本と違う国で起こっていることなどを伝える機会があればぜひ挑戦してみたい。そうすることで自分の世界も広がると思いますね」
text: Sumire Taya
マリ・クレール スタイルで最新情報をチェック!
マリ・クレール スタイル公式ウェブサイトでは、毎月刊行される『marie claire style』マガジンの誌面と連動し、更に詳しい内容を掲載。東京、パリ、ミラノ、ニューヨークなど世界各国からえりすぐったファッション情報をデイリーに発信しています。欲しいモノや知りたい情報が必ず見つかるはず! 読み応えたっぷりのPDF版マガジンも無料でダウンロードできます。