天然に負けない輝き…人工合成ダイヤに注目

Beauty

パリで開かれた展示会に展示された合成ダイヤモンドのジュエリー

取り扱いブランド増加

 人工の合成ダイヤモンドを使ったジュエリーが注目を集めている。天然ダイヤに負けない輝きがあり、環境面などに配慮したエシカル(倫理的)なダイヤとして取り扱うブランドが増えたからだ。日本でも百貨店などで販売が始まっている。

 3月上旬のパリで、有名店「ドーバーストリートマーケット」が、米国発の合成ダイヤメーカー「ダイヤモンド・ファウンドリー」と初の発表会を行った。大粒ダイヤが連なるネックレスや、ヘビをモチーフにダイヤをちりばめた指輪など、きらびやかな輝きは天然ダイヤと変わらない。価格は約20万~1500万円。4月から順次、米、英など世界4か国で発売し、東京・銀座店では7月に発売予定だ。

パリで行われた展示会。6組のデザイナーが独創的なデザインを提案した

 合成ダイヤは、海外で「ラボグロウンダイヤ」などと呼ばれる。研究室(ラボ)で作ったという意味で、「ダイヤモンド・ファウンドリー」社によると、高温の中で炭素を含むガスを使い、人工的に2~3週間かけて1カラットのダイヤを作り出す。同社は2012年にサンフランシスコで創業し、15年から販売している。

 発表会に大粒ダイヤが動く指輪を出品した日本のブランド「hum(ハム)」の貞清智宏さんは、「今回初めて合成ダイヤを使った。高い技術力で生まれたダイヤなので、様々な角度から輝きがわかるデザインにした」と話す。

日本のブランド「hum」は、合成ダイヤとリサイクルの金とプラチナで作った指輪を提案(フランス・パリで)=谷本陽子撮影

 人工のダイヤは工業用の研磨材などに使われてきたが、技術が進化し、宝飾品に使える輝きのものが登場してきた。天然ダイヤと物理的な性質は同じ。採掘による環境破壊や児童労働などの問題がなく、持続可能性があるエシカルなダイヤと注目を集める。

 東武百貨店池袋本店(東京)内のジュエリー店「アフリカ・ダイヤモンド」では、昨年11月から、合成ダイヤの販売を始めた。0.29~1カラットを約10万~100万円で販売。好みのダイヤを選びネックレスか指輪に加工して、約1か月程度で手元に届く。価格は天然より3~4割安いという。

 東武百貨店池袋本店婦人服飾雑貨部統括マネジャーの山崎秀一さんは「天然と遜色ない品質なのに値頃感がある商品」とした上で「20~30代のお客さんに長く使ってもらえるアクセサリーとしてアピールしていきたい」と話す。客の反応は「天然との違いが分からないぐらいきれい」と好評という。

 クリスタルで有名な宝飾品ブランド「スワロフスキー」は、17年から「アトリエ・スワロフスキー」のファインジュエリーコレクションで合成ダイヤを使っている。パリのアトリエで手作業で1点ずつ作り、18年には女優のペネロペ・クルスさんと協業したイヤリングや指輪を発表した。日本での販売は未定という。

アトリエ・スワロフスキーの指輪。合成サファイアと合成ダイヤを使った(ブランド提供)

 合成ダイヤについて、一般社団法人日本ジュエリー協会は、17年10月に見解を表明し、「宝石」としては取り扱わないとした。性質は同一だが、天然ダイヤの「希少性」がないことを理由に挙げている。

 デビアスなどダイヤ採掘業者で組織する団体は「1カラットの合成ダイヤ1個あたりの二酸化炭素排出量は、同サイズの天然ダイヤと同じか、それを上回ることもある」とリポートを発表。環境に優しいとの見方に異議を唱えるなど、業界では賛否が分かれている。

(読売新聞生活部 谷本陽子)