パリの街には豪奢な内装を誇る古いカフェが多く立ち並びます。そのほとんどは19世紀後半のアール・ヌーヴォー時代にできたものか、あるいは20世紀初頭のアール・デコ時代のもので、パリの高級レストランやブラッスリーでは大抵このどちらかの様式が見られるのです。
しかし、時には予想を裏切る建物に出会うこともあり、例えば去年マドレーヌ広場にできたばかりのサロン・ド・テ、「カフェ・プーシキン」もその一つでしょう。
「カフェ・プーシキン」はロシアのカフェチェーンですが、ヴェルサイユ宮殿もかくやというボワズリーやモールディングは素晴らしく、すべてが新品であるなんてにわかには信じられません! 以前は電話会社のオフィスが入っていたのですから、大きな変化ですね。

ロシアの職人たちが腕を振るって、パリの「カフェ・プーシキン」に絢爛な輝きを与えたのです。2階にある本棚の細工から金の装飾を施した階段まで、19世紀の帝政ロシアが見事に再現されています!
パリに店を構えてはや数世紀といった風格で、内装はクラシックなフランス様式にマッチしたものですが、れっきとしたロシアのブランドです。名前もロシアの文豪にあやかっていますし、店内ではロシアのお菓子や料理を味わうことができますよ。特に蜂蜜でできたケーキ、メドヴィクは有名ですね。

「カフェ・プーシキン」が再現する帝政ロシアの華々しい時代には、フランスとも深い関わりがありました。当時パリはヨーロッパの中心だと考えられていて、どの国の王宮でもフランス語が話されていたのです。もちろん、ロシアのサンクトペテルブルクも例外ではありませんでした!
実は「カフェ・プーシキン」誕生のきっかけとなったのも、1人のフランス人歌手だったといいます。1964年、ジルベール・ベコーがモスクワを歌った曲の中に、架空のカフェ「プーシキン」が登場したのですが、存在しないその場所を探して観光客が詰め掛けました。そうした経緯で、99年に本物の「カフェ・プーシキン」がモスクワに開店したとのことです。
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