ヴェルサイユのロマンス 監獄で生まれて、国王の妻になった女性

マリ・クレール スタイル

 大聖堂で知られるシャルトルからそう遠くないところに、マントノン城はあります。パリからだと車で1時間半くらいの距離でしょうか。かの有名な造園師アンドレ・ル・ノートルが手掛けたフランス式庭園と、ディズニーランドのお城に並ぶほど壮観なルネサンス様式のファサードが目を引きますが、何といってもその歴史が素晴らしいのです。

 マントノン城は、ルイ14世の最後の妻、マントノン侯爵夫人フランソワーズ・ドービニェの居城でした。彼女は数奇な運命をたどった女性で、生まれは監獄、カリブ海のマルティニーク島で育ち、そして最後には太陽王の庶子たちの養育係となりました。

photos: Pauline Darley

 最初に結婚した劇作家ポール・スカロンに先立たれ、若くして未亡人になりました。そのミステリアスな美貌と魅力的な人柄にかれた太陽王は多額の金銭を与え、フランソワーズはマントノンの所領と城を購入したのです。そして、王妃マリー・テレーズ・ドートリッシュが亡くなった際、ルイ14世は彼女に秘密裏に結婚を迫りました。フランス史でも指折りの逸話です!

photos: Pauline Darley

 19世紀にはロマン派の芸術家が集う場所にもなったマントノン城ですが、特に彼らには水道橋の美しさが人気でした。しかし、皮肉なことに、マントノン侯爵夫人はこの橋を嫌っていたといいます。遠近感が狂ってしまうだけでなく、建築に何年もの年月と多くの人員が必要だったことが理由でした。彼女にとってはわずらわしかったのでしょう。

 水道橋はルイ14世が建設を命じたもので、全長80キロメートルもの橋を通じて、マントノン城の川からヴェルサイユの噴水まで水を引くのが当初の目的でした。この計画は4年で頓挫したそうで、皮肉な話です。

 何にせよ、素晴らしい風景が残っていることに変わりはありません。

ルイーズ・エベル
ルイーズ・エベル(Louise Ebel)
ファッションブロガー

 ファッションブログ「PANDORA」を主宰。フランス、パリ在住。子どもの頃から美術史と19世紀の世界に夢中となり、ファッションやアートへの関心も高く、大学で美術史を専攻。マリー・アントワネットやマルチェサ・カサティの世界が好き。ビンテージファッションやアンティークの小物の収集家としても知られる。

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