男社会に挑む! 女たちのために闘う女優、ジェシカ・チャステイン

マリ・クレール スタイル

ジェシカ・チャステイン(c)Maarten de Boer/Contour by Getty Images

 モノクロームの耽美たんびな世界、かつて写真家セシル・ビートンが1920年代に生み出したエレガントで扇情的な世界観を踏襲したフランスの雑誌『Egoiste』。ファッション業界だけでなく、フランス社交界で絶大なカリスマとして知られるニコル・ヴィスニアックが編集長として編集、広告などのディレクションのすべてを取り仕切り、リチャード・アヴェドンやヘルムート・ニュートンなど大物写真家がコントリビュート。このセンセーショナルなヴィジュアル誌は、発行されるたびに大きな反響を呼び、雑誌の顔である表紙の人選にも常に注目が集まっている。2018年3月、3年ぶりの新刊の表紙に選ばれたのが女優ジェシカ・チャステインだ。

 『Egoiste』の創刊と同じ、1977年に生まれた彼女はカリフォルニア州サクラメントで育ち、ニューヨークの名門ジュリアード学院演劇部門で演技を学び、テレビをメインに女優としてのキャリアを積み重ねていく。しかし、その道のりは平坦なものではなかった。今でこそ艶やかになびく赤毛はジェシカ・チャステインのトレードマークとなっているが、一時はハリウッド女優王道のブロンドに染めるべきかと悩んだ時期もあったという。

 2011年はそんな彼女にとって突破口となる年になった。巨匠テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』にブラッド・ピット、ショーン・ペンと共に出演し、作品はカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。そして、1960年代の公民権運動を背景に、白人女性と黒人女性との間で生まれた友情を描いた『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』ではアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、彼女の名前は多くの人に知られるようになる。

男女格差をなくすために自ら行動

 出演オファーが次々と舞い込んできたが、彼女はとても慎重に対応した。ウサーマ・ビン・ラディン殺害に至るまでのプロセスを描いたキャスリン・ビグロー監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』ではCIA分析官を演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。『女神の見えざる手』では敏腕の政治ロビイストを演じるなど、あえて社会派の作品を選び、批判から逃げず、社会に屈しないたくましい女性を演じている。

ジェシカ・チャステイン(c)Yu Tsai/Contour by Getty Images

 しかし、ジェシカ・チャステインは強い女性を演じる女優と評価されることに関して、Twitterで問題提起をして話題となった。男性は強くて女性は弱いという概念やジェンダー格差をなくしていくことの大切さを彼女はスクリーンやメディア、SNSを通じて私たちに強く訴え続けている。

 実際に彼女はギャランティの男女格差をなくすために自ら行動し、女性監督への支援などに力を入れている。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ問題に端を発した「#MeToo運動」の際にも、恐れることなくSNSを通じて意見を述べた。さらに、妊娠によって学業を妨げられてしまう女性を救うためにプランド・ペアレントフッド(人工妊娠中絶手術や避妊薬処方など、望まない妊娠に関する医療サービスを行うNGO)の活動を支援するなど、女性のために時間や労力を惜しまず全力で取り組んでいる。

 「女性が社会的に疎外されたり、虐待やハラスメントを受けたり、過小評価されることに対して“もう終わりよ”って言うために、あらゆる業界の女性たちと共に立ち向かっていくわ」

 常にメッセージを送り続ける彼女だからこそ、『Egoiste』の表紙に選ばれたのだろう。外見の美しさはもちろんのこと、内面から強靭な輝きを放つジェシカ・チャステイン。彼女はこれからも女性たちが心の底から共感できる女性像を果敢に演じ、私たちにパワーを与え続けてくれることだろう。

ジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)
モデル

  1977年、カリフォルニア州サクラメント生まれ。2008年、ダン・アイアランド監督の『Jolene』で映画初主演を飾り、いきなりシアトル国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞。11年、テイト・テイラー監督『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。翌年、キャスリン・ビグロー監督の『ゼロ・ダーク・サーティ』で、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。瞬く間に世界のトップ女優となる。また、彼女の洗練されたスタイルにファッションやジュエリーの業界が注目、15年よりスイスの高級ウォッチ・ジュエリーブランド「ピアジェ」のインターナショナル ブランドアンバサダーに起用。

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