パリコレ 強烈な個性で「新しさ」を模索

Beauty

 2019年春夏パリコレクションが2日、閉幕した。注目を集めたのは、セリーヌなど強烈な個性を持つデザイナーのブランド。男女の境界やショーの形に疑問を投げかけるなど、多様な価値観の中で、新しさを模索するシーズンだった。

セリーヌ

 今シーズン最も話題となったのはセリーヌだ。デザイナーにディオール・オムやサンローランを手掛け、カリスマ的人気で知られるエディ・スリマンを起用。初めてメンズも発表した。

 丈の短いミニドレスは、極端に膨らみ、黒を基調にスリマンらしいエッジの利いた服が並ぶ。前任のフィービー・ファイロが提案したシンプルで知的な印象が一変。ブランドの伝統や顧客の好みより、デザイナーの個性が勝る服に、「若者に受けそう」「顧客が離れる」と賛否が分かれた。

グッチ

 ミラノを拠点とするグッチも今回に限ってパリで新作を発表。流行を先導するデザイナーのアレッサンドロ・ミケーレは「ボーダーレス」をテーマに据えた。男性がワンピースで登場し、羽根やスパンコールを飾ったガウンが退廃的な雰囲気を醸し出した。

オフ・ホワイト

 身体美を強調したのは、ルイ・ヴィトンのメンズも手掛けるヴァージル・アブローのオフ・ホワイト。陸上競技場のトラックを模した会場で、競技用ウェアとフリルを合わせたドレスなどを提案。現役のスポーツ選手もモデルとなり、鍛え上げた肉体にスポーティーな服が映えた。

コム・デ・ギャルソン

 大規模なショーが目立つ風潮に、反旗を翻すようにコム・デ・ギャルソンの会場は、板張りの壁にベニヤ板の舞台。デザイナーの川久保玲は、10シーズン前から、抽象的なアートのような服を発表してきたが「このアプローチが新しく感じられなくなった」と語る。ドレスの脇からこぶがはみ出て、コートに結び目が連なる。オーソドックスな形が裂けてうねる模様がのぞく。「これからは表面的なデザインや表現でなく、中身のデザインです」と話す。

 既存路線を問う動きが目立つのは、価値観が多様化し、トレンドが見えなくなる中で、新しさや話題性をどう打ち出せばいいのか模索しているように思えた。(敬称略)(編集委員 宮智泉、生活部 福島憲佑)