森星さんらバッグをデザイン「フェンディ ピーカブー」展

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(左から)ゆう姫さん、森星さん、安藤桃子さん

 イタリアの高級ブランド「FENDI」を象徴するバッグの一つ、「ピーカブー」の誕生10周年を記念した展示会「フェンディ ピーカブー~世代を超えて受け継がれるアイコン~」が11日、東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」で開幕しました。チャリティー企画「ジャパン ピーカブー プロジェクト」の一環で、ファッションモデルの森ひかりさん、映画監督の安藤桃子さん、シンガーのゆうさんがそれぞれデザインしたオリジナルバッグなどが展示されています。10日には、3人によるトークイベントが行われ、家族への思いなどを語り合いました。

収益を慈善団体に寄付

 森さんは、世界的なデザイナーの森英恵さんを祖母に持ち、姉の泉さんとともにモデルとして活躍しています。安藤さんの母は、エッセイストの安藤和津さん、妹は女優の安藤サクラさん。ゆう姫さんも俳優の故・松田優作さんを父に、女優の松田美由紀さんを母に持っています。「世代を超えて受け継がれるアイコン」というテーマに合わせて、祖母や母から優れた才能を受け継いだ著名人として、森さんらがピーカブーのデザイナーに選出されました。

「フェンディ ピーカブー」展の会場

 森さんがデザインしたバッグは、貴重なクロコダイルレザーで作られ、フロント部分に桜の花の刺しゅうをあしらって、日本的な上品さ、繊細さを演出。ミンクファーのストラップが高級感を高めています。

 安藤さんは、フロント部分のフレームに日本三大和紙の一つとされる「浜田和紙」を飾ったホワイトレザーのバッグをデザインしました。手描きの「Key for the future」の文字が刻まれたFの字形のチャームと、ニホンジカの角をあしらった変形ハンドルが大きな特長です。

 ゆう姫さんのバッグは、柔らかさとしなやかさが特長のナッパレザーを使用。仲むつまじい母と娘の絵が白糸で刺しゅうされ、裏地には同じく白のミンクファーを施して、豪華さを醸し出しています。

(左から)森星さんデザインのバッグ、安藤桃子さんデザインのバッグ、ゆう姫さんデザインのバッグ

 これらの作品はオンラインオークションで販売され、収益は3人がそれぞれ支援する慈善団体に全額寄付されます。このほか、過去に国内外で行われた「ピーカブー プロジェクト」に出展されたバッグのうち、英ミュージシャンのアデルさんやモデルのカーラ・デルヴィーニュさん、現代美術家の松井冬子さんらがデザインした作品も展示されています。

 また、デジタル技術を駆使して、来場者がバーチャルでオリジナルのピーカブーを作り出せる体験コーナーも設けられています。

 同展は、「GINZA SIX」内の蔦谷書店「GINZA ATRIUM」で、24日まで開かれています。

年を重ねるごとに家族が仲良く

 トークイベントで、森さんら3人は自ら手掛けたバッグを手にして、デザインでこだわった点などを説明しました。森さんは「母はアメリカ出身、父は日本人ですが、共通するのは、2人の祖母がどちらも黒が好きなこと。何にも染まらない強さを持っている色なので、黒のバッグを作ろうと決めました」と話しました。

 安藤さんは、バッグのハンドル部分にニホンジカの角を取り入れたことについて、「着物などもそうですが、職人が手をかけた“本物”の品は、親子代々受け継がれていくものです。シカの角を使うことで、命を受け継いでいくことの大切さを表しました」と解説。レコードジャケットのイラストを自ら描くこともあるというゆう姫さんは、「自分のイラストを刺しゅうにしていただけてうれしい。母親と娘が重なり合って、一心同体なんだけれど、ちょっとずれている。そんな姿を表現しました」と説明していました。

 また、家族とはどんな存在かと質問された森さんは「ファミリーみんなが大切な存在です。母と祖母は、一つのものを大事に使う。職業柄、新しいものに走ってしまう時もありますが、私もものとの向き合い方が変わり、感謝しながら長く使うようになりました。そういうことも教えてくれたファミリーに感謝しています」と述べました。

 安藤さんは家族について「性格が全員バラバラで、かみ合わない人たち」と表現。ところが、安藤さんが我が子を出産した瞬間、発した言葉が「お母さん、ありがとう!」だったそうです。「ご先祖さまからずっとつながってきて、その先頭に立たせてもらい、私に子どもが生まれたら、今度はその子が先頭に立つ。そうやって命がつながっていくことって、すごいと思った」と話しました。

 父親の松田優作さんを幼い頃に亡くしたゆう姫さんは、兄の松田龍平さん、翔太さんが俳優として活躍。「母子家庭だったので、家族4人の絆が深くて、年を重ねるごとに仲良くなっています。私のライブの時、誰にも話していないのに、きょうだいがライブ会場に集結したこともありました」と打ち明けると、森さんと安藤さんがうらやむシーンも見られました。

森星さん「自分の影響力をビルドアップしたい」 

 森さんのバッグの販売による収益金は、途上国の少女たちの支援活動などに取り組んでいる国際NGO「プラン・インターナショナル」に寄付されます。森さんはこれまで、ベトナム、ネパールなど4か国を訪れ、支援活動に参加してきました。森さんに活動の様子などについて聞きました。

――初めてプラン・インターナショナルの活動に参加したのは?

 雑誌の企画で4年ほど前、ベトナムを訪ねました。空港から車で10時間もかかる山村でした。事前に女性差別や少女たちの早婚・出産といった問題があることを聞かされていて、「とりあえず行ってみたい」という単純な気持ちでしたが、実際に行ってみると、都会よりもむしろ「本物の豊かさ」があふれていると感じたんです。例えば、人々の自然に感謝する気持ちや、都会と違ってモノは少ないけれど、少ないからこそうまく生きていく知恵などです。もちろん、ネガティブな問題は存在するけれど、学ぶべきことも多いと思ったので、以降もプラン・インターナショナルの活動を続けさせていただき、今に至っています。

――今年7月にはフィリピンの小村を視察したそうですね。感じたことは?

 村単位の小さなコミュニティーがあって、ご近所さん同士のつながり、コミュニケーションがすごく繊細で緊密なんです。私たちは今、SNSでいろんな人とつながっているけれど、実は「本当のつながり」はほどけてしまっているんじゃないかと思うんです。それと、活動を通じて、「自分の命の役割」についてよく考えるようになりました。例えば、今回のような小さな村を訪れると、そこに住む人たちにとって私は「初めて会う日本人」なんです。そうなると、私の言動一つで、彼らの日本に対する印象が変わってきます。そう考えると、人間一人の力って、小さいようで実は大きいんだなと思いましたね。

――今後、行ってみたい国や地域はありますか?

 チャンスがあったら、アフリカに行ってみたいです。それから、日本では台風や大地震などの被害が相次いでいますが、世界中で今、天災が起きていて、まるで地球が泣いているように感じているんです。被災した国を訪ねて、何らかの支援に携われたら。それには、自分の影響力をもっとビルドアップしたいです。いろんな場所を訪ねて、そこで知ったことをメッセージにして伝えようとしても、影響力がなければ大勢の人には伝わりません。モデルという職業を通じて影響力をビルドアップできれば、支援する側、支援される側の双方にとってプラスになるのではと思っています。

(取材・読売新聞メディア局 田中 昌義)