今秋のトレンドは「ボリューム」 着こなしのコツは?

宮田理江のモード日和

MUVEIL(ミュベール)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 まだ夏の盛りですが、夏物のセールも始まり、気持ちは秋へ。秋のトレンドの一つが「ボリューム」です。オーバーサイズやビッグシルエットがここ数シーズン、人気を博しています。一番取り入れやすいのは、量感のたっぷりしたトップスや羽織り物、アウター類です。大人の女性がまとう際に意識したいのは、レトロでフェミニンなムード。懐かしいアイコンたちから着想を得た新提案が着こなしの参考になりそうです。

量感とレトロテイストをミックス

 人気ブランドの「MUVEIL(ミュベール)」が2018-19年秋冬シーズンに向けて打ち出したのは、1940~50年代に活躍した米国人女優リザベス・スコットをミューズに迎えたコレクションです。全体にクラシカルな時代感をまとわせ、立体的なシルエットで優雅なレイヤードを組み立てました。

MUVEIL(ミュベール)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 ゼブラ柄のカーディガンに重ねた同じ柄のコートは、ゆったりしたシルエットでボリュームを上乗せしました。ボトムスのスカートは柔らかくフェミニンなタイプと合わせ、華奢きゃしゃに見せています。首元に巻いた、やや古風な模様のスカーフでレディー気分を忍び込ませるのがこの秋冬らしい演出。ソックスで足元から抜け感を醸し出せば、コートのボリュームを生かしながらも、軽やかな装いに仕上がります。

MUVEIL(ミュベール)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 多めの詰め物でふくらませたダウンアウターは今度の秋冬にヒットしそうです。ボーイッシュやストリート風に映りやすいアイテムですが、裾に向かって広がる「Aライン」のシルエットなら、かわいらしさを忍ばせられます。バラ柄とプリーツをあしらったワンピースとのコンビネーションは、上下でムードを変え、テイストをミックス。ソックスとサンダルで伸びやかな足元にまとめたおかげで、ボリュームアウターが軽やかに見える仕掛けです。

MUVEIL(ミュベール)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 この秋冬に注目されているアイテムの一つに、肩回りを優美に包み込むケープが挙げられます。淑女のイメージがあるケープ風コートは、レトロとボリュームの“いいとこどり”ができます。こちらもスカートでフェミニン感を加えました。ロングマフラーもトレンド小物として浮上しています。アイキャッチーなメッセージやモチーフが着姿を盛り上げ、全体を縦長にも見せてくれます。

ストリート感とエレガンスが同居

 1920年代の米国を舞台にリッチ層のきらびやかな暮らしを描いた映画『華麗なるギャツビー』(原作小説は『グレート・ギャツビー』)。東京コレクション参加の実力派ブランド「mintdesigns(ミントデザインズ)」は「もしギャツビーが女性だったら」という設定で、2018-19年秋冬コレクションを披露。どこか懐かしげなムードにストリートテイストを漂わせたレイヤード(重ね着)を送り出しました。

mintdesigns(ミントデザインズ)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 指先まで隠すスーパーロング袖の人気が続いています。上のルックでは、ゆったりとしたスエットパーカとのレイヤードを提案。ストリート系ルックの代名詞的な存在とされるスエットパーカですが、大人の女性が取り入れたくなるようなデザインが増えてきました。ボトムスを柔らかい素材で合わせると、メリハリが出ます。異なる風合いや質感をミックスしたようなボトムスが着姿全体をこなれた感じにしました。

mintdesigns(ミントデザインズ)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 たっぷりしたシルエットの羽織り物でも、襟なしのタイプや、前を開ける着方は、重たさを遠ざけてくれますし、前を開けることで複雑なレイヤードがしやすくなります。ハイネックを組み込んだトップスの重ね着は縦長感を印象づけてくれます。ボトムスにパジャマを思わせるようなノスタルジックな風情のパンツを迎えて、テイストに深みを出しました。エナメルのシャープなブーツとのズレ感も、こなれて見せてくれます。

mintdesigns(ミントデザインズ)2018-19秋冬コレクション=ブランド提供

 ボリュームを生かした演出では、アウターが主役になりやすいのですが、アウター以外でも楽しめます。たとえば、本来は首に巻くネックウエア(スヌード)を肩から斜め掛けにすると、身頃の正面にダイナミックな起伏をこしらえることができます。上から細めのベルトで締めれば、ウエスト周りがすっきり。わざとボリュームを作ることによって、スレンダーな印象を引き出すアレンジです。

 大人の女性がビッグボリュームと上手に付き合ううえでは、ストリート風に見せすぎず、フェミニン寄りに整える着こなしが大切になってきます。具体的にはエレガンス系のワンピースやスカート、小物を組み込めば、ムードをコントロールするのに役立ちます。夏本番はこれからですが、少しずつビッグシルエットの操り方を試していけば、秋を迎えたときも慌てることなく、新トレンドを楽しめるはずです。

宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー・講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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