ファッションブランドが提案する新しいインテリアの形

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 「ミラノデザインウィーク」は、主に家具ブランドが見本市会場でプロ向けに見せる「ミラノサローネ」に加え、市内でデザインイベントが無数に開催されます。見本市会場外のイベントは「フォーリ・サローネ」と呼ばれ、一般の人も楽しめるため、人気の展示は、長蛇の列ができます。訪れる人は100万人ともいわれています。

  特に人気なのがファッションブランドの展示。ブランドの世界観が空間で表現され、入るだけでうっとりと贅沢ぜいたくな気分になれます。

モロッコタイルが幻想的なエルメス

幻想的なタイルが美しいエルメスの展示

 エルメスの会場は、ミラノ市内の美術館でした。とは言え、美術館の中に、青や緑の優しい色合いのタイルで美しい建物を7棟作っていました。1週間の展示のために、手焼きのモロッコのタイルを運び入れ、1か月かけて会場を作ったそうです。まるで抽象絵画のような幻想的な雰囲気。

竹細工の美しいベンチ(C)エルメス

 そこで、ポルトガルの建築家による竹細工のベンチや、ガーデンをテーマにした食器、ラグや革製のアクセサリーホルダーなど手仕事のぬくもりを感じさせる小さな家具や小物を配置して見せました。

洗練された中に温かみも感じさせるエルメスの食器

 会場に設けた休憩スペースでは、エルメスの食器を用いて、コーヒーなどが振る舞われてもいました。繊細な美しさが漂う展示の数々。職人による手仕事を大切にしているブランドの信念が伝わってくるだけでなく、エルメスのある暮らしまで体感できる演出となっていました。

ルイ・ヴィトンが考える「ノマド」スタイル

 ルイ・ヴィトンでは、「オブジェ・ノマド」と名付けた家具のコレクションを2012年から発表しています。一流のデザイナーが「旅」をテーマに着想した家具を、ルイ・ヴィトンの最高級の革と職人の技術で作りあげているコレクションです。

リボンダンス・チェアに座るアンドレ・フーさん

 今年新たに参加した香港出身のデザイナー、アンドレ・フーさんは、「リボンダンス・チェア」と名付けた2人掛けのアームチェアを発表しました。革製のアームは、まるでリボンが宙を舞うように美しく、座った人同士が対面するようにデザインされています。フーさんは「人々が集い、触れあう場となり、会話が弾むデザインにしたかった」と話してくれました。

吉岡徳仁さんとブロッサム・スツール

 日本の吉岡徳仁さんも、革や木を使った「ブロッサム・スツール」を手がけています。歴史のあるルイ・ヴィトンのモノグラムの形でもあり、四つ葉のクローバーや桜の花も連想させるデザインです。「複雑に見えて構造はシンプル。これまでにないようなイスをと自由にデザインした。自然が好きなので、木を使い、植物をモチーフにしました」と話していました。2001年から毎年ミラノサローネに参加している吉岡さん。サローネに参加して世界の人と会話したり、ともに仕事をしたり、その積み重ねにより、視野が広がっているそうです。

折り紙のようなレザーフラワー。ため息がでるほどきれい

 また今回「プティ・ノマド」と題したインテリア小物の新作を発表。天井一面を飾ったスイスのデザイン事務所「アトリエ・オイ」が手がけた折り紙のようなレザーフラワー、マルセル・ワンダースによる革を細部に使ったミラーなど、ユニークな作品で革の可能性や職人の高度な技術を感じさせました。

カラフルなマルニ、スワロフスキーのきらめき

 

遊び心のあるマルニのイス

 イタリアのブランド、マルニは、遊び心のあるイスや雑貨を屋外の会場で、披露しました。南米コロンビアの民芸品から着想。PVC(ポリ塩化ビニール)素材を編み込んだ顔をモチーフにしたイス、クジャクの羽のような背もたれのイスなど色鮮やかで楽しくなるデザインでした。

nendoが手がけたスワロフスキーの花瓶
クリスタルガラスをラバーに貼った柔らかい器

 「アトリエ・スワロフスキー」もクリスタルガラスを使ったインテリア用品を見せました。日本のnendoが手がけた花瓶やキャンドルホルダー、イタリアの著名家具デザイナー、パトリシア・ウルキオラによるクリスタルガラスをラバーに張った「柔らかいクリスタルの器」などを提案しました。こちらにもカフェがあり、多くの市民がクリスタルのあるコーヒータイムを楽しんでいました。 (読売新聞生活部・谷本陽子)