エディター・三尋木奈保さんに学ぶ「きちんと見える」洋服選び

ファッション

 社外での打ち合わせ、会食、一日中、社内でデスクワークをする日……。仕事の洋服といっても、着こなす場面は様々。そんな毎日の洋服の選び方を、女性誌「Oggi」などで活躍する人気エディター・三尋木みひろぎ奈保さんが紹介する書籍「My Basic Note2“きちんと見える” 大人の服の選び方」(小学館)が出版されました。三尋木さんに本書に込めた思いやおしゃれのコツなどを聞きました。

着ていて落ち着くベーシックな服

――5年前に『My Basic Note 「ふつうの服でおしゃれな感じ」のつくり方』を出版し、12万部のベストセラーになりました。今回の「“きちんと見える” 大人の服の選び方」と前作で共通するものはありますか?

 私はエディターなので、仕事でトレンドや流行のものを扱っていますが、自分ではあまり流行のものを選びません。着ていて落ち着くのはベーシックな服だし、自分をよりよく見せてくれるのは、シンプルな服だと思っています。無理して幅を広げたり、業界人っぽくしたりしないように心がけています。

三尋木さんが普段着ている服や着こなしのコツが詰まった「My Basic NoteⅡ“きちんと見える” 大人の服の選び方」(小学館)

――どちらの本も、白やベージュ、グレーなどの色味が多い印象です。

 スタイリストさんやモデルさんのスタイルブックは、すごくおしゃれで、帽子やサングラスなどの小物を多用していらっしゃいます。でも、普段の私はエディターとして原稿を書いたり打ち合わせをしたりと、すごく地道な作業がほとんど。裏方なので、あまりおしゃれし過ぎるのも落ち着かない。そういうところで培われた地味さ、ベーシックさが生かされています。

「いろんな服を着なきゃ」と思わない

――三尋木さんのコーデを見ると、同じような服や組み合わせが多く登場します。

 自分に似合うものを見つけたら、いつもそれに似たものを着るので、本当に同じような組み合わせばかりになります。その中で、着丈や色や素材感を変えることで、おしゃれを楽しんでいます。いつもと違う格好をした時に「今日は何かあるの?」って聞かれるのもちょっとイヤですよね。

――おしゃれをするって、いろんなテイストの服を選ぶことだと思いがちです。

 いろんな服を着ようとすると、似合わなくてピンとこない服も出てきます。それってステキに見えないし、自分も落ち着かないですよね。「いろんな服を着なきゃ、変化をつけなきゃ」と思わないようにするといいですよ。ステキに見えなかったら幅を広げても意味がありません。自分自身がわかっている範囲でおしゃれを固めたほうが、居心地良く仕事ができるし、気持ちも落ち着きます。

「足りないもの」を買う

春にぴったりのサックスブルーのシャツでちょっぴりマニッシュに。タックが入ったパンツでウエスト周りはすっきりと。パールのネックレスを合わせて

――洋服選びのコツはありますか? 

 お財布に余裕があればいいのですが、そうでない時は、「欲しいもの」ではなく「必要なもの」を買うようにしています。雑誌や店頭でパッと見て「かわいいな」と思ったものは、欲しいものですよね。でもいったん立ち止まって、何が足りないかを考えてみる。私は足りないものを付箋に書きだすようにしています。そして、買う時は必ず試着をします。手持ちのどの洋服に合うか、やせて見えるか。そんなふうに試着室で考える時間も好きです。

――自分に似合う服やテイストがわからず、シーズンごとに迷走してしまいます。

 自分の興味の範囲と、似合うものの範囲ってそんなに広くないと思うんです。いろんなファッションに挑戦するよりも、その範囲でファッションを深めていくことで、ステキに見えてくると思っています。地道に、何が自分に似合うのか見極めていくといいですよ。

コーデは靴から組み立てる

――コーデを組み立てるのが難しく、出かける前になって「靴が合わない」「このコートだと暑いかも」などバタバタしてしまいます。

 私にとっての「予定」とは仕事できちんと見られたい、というシーンがベース。そこにその日の天候や電車や徒歩の移動など、細かい状況設定が加わってきます。そのため、前日に天気をチェックするようにしています。「雨だったら、あの靴にしておこう」と、靴から決めると全身が決まりやすいですよ。

朝から雑誌のロケ撮影、夜は会食へ行く日のコーデ

 カジュアル→ドレッシーが求められる両極端な予定の日は、「靴を履き替える!」と割り切るとスムーズ。あとは信頼の美脚パンツと、きれいめプルオーバー、小ぶりバッグが両方のシーンをカバーします。

(左)昼にロケ(右)夜は会食

スニーカー/アディダス、パンプス/ジミー チュウ、チェーンバッグ/ボッテガ ヴェネタ、ベロアバッグ/バンギ、ブラウス/アドーア、パンツ/ザラ ※写真はいずれも「My Basic NoteⅡ“きちんと見える” 大人の服の選び方」(小学館)

一度買ったら最低2年は着る

――三尋木さんは、小物や洋服を長く愛用されていますね。2013年に出版された前書に登場したバッグやストール、ニットなどと同じものが、本書にも登場しています。

 一度洋服を買ったら2年は絶対、なんなら3、4年着るのが当たり前。良いものは値段は張りますが、その分、選ぶ目も厳しくなる。結果、自分に似合って、ステキなものにたどり着けると思うんです。もちろん、ファストファッションも買います。本書にはZARAのブラウスも登場します。でも、「安いから買った」というよりは、「長く着られるものがZARAにあった」という感じです。

「前書でも紹介したカシミアのリブニットは9年愛用しています。お気に入りの洋服は大切にして、長く着たいんです」と三尋木さん

――本書からは、三尋木さんの洋服に対する愛情のようなものが伝わってきます。

 子供の頃、母が洋裁好きで、姉とおそろいの服を手作りしてくれたんです。母が心を込めて作ってくれた洋服を大事に着なきゃという思いがありました。それが今につながっているのかもしれません。

年齢に合わせておしゃれを更新

――4月は新しい出会いも多いです。ファッションのポイントを教えてください。

 大手小町の読者の世代だったら、職場でも先輩になる世代。同僚の男性や上司より、後輩女性にステキって思われたい気持ちがあると思います。本書でも紹介していますが、スカート丈を少し長めにしてみると、人から見た時に落ち着いて見えると思います。自分に似合っていて好きなものを、年齢に合わせて更新している感じが、その人の賢さやしなやかさを表すことにつながると考えています。

(聞き手:読売新聞メディア局・山口千尋、撮影:高梨義之)

 

三尋木さんの着回しセオリー

 「My Basic Note2」から着回しセオリーを紹介します。

 服を買う時は自分のワードローブを思い浮かべて、3段階で着回せるかをシミュレーションをします。
1,まずは王道の「きれいめベーシック」
2,配色を変えてみる
3、異なるテイストへのチェンジを図る
 3パターンが無理そうだったら、その服は自分らしいアイテムではないはず。購入を見送ったほうが賢明かもしれません。こうして買う物を決めていくと、手持ち服も生かしやすく、ワードローブに足りないものも明確になって、無理なく着こなしの幅が広がります。

「ダークネイビーのコットンブラウス」を3段階着回し

1,きれいめベーシックに。まずはフレアスカートを合わせて、王道のさわやかフェミニンなスタイルに。 ネイビー×白の配色はどんなシーンでも好印象。

スカート/マルティニーク、バッグ/カパフ、靴/ペリーコ

左:2,配色を変えてみる。①がコントラスト配色だったから、次は同系色の色合わせを考えます。ツヤのあるチャコールのタイトスカートで 全体の印象をシックな方向へシフト。

右:3,異なるテイストへチェンジ。私にとっての変化球アイテム、ワイドパンツを投入。甘めのブラウス×マニッシュなカーキパンツの 甘辛バランスも新鮮。かごバッグとぺたんこサンダルでリゾート感を加えて。

(左)スカート/デミルクス ビームス、バッグ/ボッテガ ヴェネタ、ストール/ファリエロ サルティ、靴/セリーヌ (右)パンツ/オーラリー、バッグ/メゾン N.H パリ、靴/マウロ デ バーリ ※写真はいずれも「My Basic NoteⅡ“きちんと見える” 大人の服の選び方」(小学館)より抜粋
三尋木 奈保(みひろぎ・なほ)

1973年、神奈川県生まれ。一般企業に勤務した後、ファッションエディターに。2013年に発売した『My Basic Note「ふつうの服でおしゃれな感じ」のつくり方』は発行部数12万部のベストセラーになった。

 

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