バーバリーの虹色チェック、ロンドンのテーマは「多様性」

宮田理江のモード日和

BURBERRY 2018年 February コレクション (c)Courtesy of Burberry

 2018-19年秋冬シーズンに向けたロンドン・ファッションウィーク(2月16~20日)では、多様性(ダイバーシティー)をうたい上げるコレクションが相次ぎました。性差やテイスト、歴史、着こなしルールなどを見直す提案が、見る人の心を揺さぶりました。様々な地域や志向の人々を受け入れ続けているロンドンならではの懐の深さが、古い決まり事にしばられないクリエーションを支えています。

BURBERRY(バーバリー)

BURBERRY 2018年 February コレクション (c)Courtesy of Burberry

 レインボーカラーが躍り、ランウェイを華やかに盛り上げました。すべての色の要素を含む「虹」は、性的少数者の総称であるLGBTや多様性のシンボルとされています。7つの色はマキシスカートやキルティングジャケットなどを若々しく染め上げ、LGBTコミュニティーへの連帯感を示しました。

BURBERRY 2018年 February コレクション (c)Courtesy of Burberry

 時を超えたタイムレスな提案も、長い歴史を持つブランドらしい点。代名詞的なトレンチコートはピンクの生地で仕立て、落書き風のモチーフを散らしています。英国伝統のチェック柄も複数の格子柄を重ねたり、マルチカラーで彩ったり。キャップやカムフラージュ(迷彩)柄でストリートカルチャーとのミックスも試していました。

 今回を最後に退任するプレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーのクリストファー・ベイリー氏は、ラストショーで「時」をテーマに選びました。自らとブランドの歴史を重ね合わせ、カラフルでハッピーなコレクションで「バーバリー」での17年間を締めくくりました。

JW ANDERSON(ジェイ ダブリュー アンダーソン)

JW ANDERSON 2018-19年 秋冬コレクション Credit – InDigital

 「LOEWE(ロエベ)」のデザイナーを兼ね、ユニクロとのコラボレーションでも知られる俊英が手がける「JW ANDERSON(ジェイ ダブリュー アンダーソン)」。ウィメンズとメンズのショーを初めて統合して、性別にとらわれない「ジェンダーレス」の流れを反映したのは、今回のロンドンで目立った変化です。パーカ(フーディー)やスニーカーでユース(若者)カルチャーに目配りを利かせています。シーズンレスに着こなせるワンピースも多用。色はカーキやベージュでアウトドア気分を印象づけています。

JW ANDERSON 2018-19年 秋冬コレクション Credit – InDigital

 左右でシューレースの色が違うスニーカーや、靴ひものディテールを組み込んだバッグが着こなしのアクセントに。ストリート風味を加え、世代やシーズン、場面を超えていく提案からは、目まぐるしくトレンドを仕掛け続けてきたモード界の手法から離れて、着る側に寄り添う意識がうかがえます。

TOGA(トーガ)

TOGA 2018-19年 秋冬コレクション

 一般的には「小物」「脇役」と位置付けられるスカーフを、装いの主役級に格上げしたのは、古田泰子デザイナーの「TOGA(トーガ)」です。服の脇身頃をカットアウト(くり抜き)して、クラシックなスカーフ柄を内側から透かし見せる演出で、スカーフを服に組み込んでいます。バロック風の古典的なスカーフプリントが、着姿に高貴なムードを薫らせました。ベルトにもスカーフを配して、新たな居場所を与えています。

TOGA 2018-19年 秋冬コレクション

 マスキュリンなテーラードジャケットにシンプルなハイネック、艶めくプリーツスカートを合わせるといったミックステイストも提案。深いスリットがひるがえって、チラリとのぞく裏地に強めの色を配し、重層的な見え具合に仕上げていたのも、ミステリアスな仕掛けでした。

MARGARET HOWELL(マーガレット ハウエル)

MARGARET HOWELL 2018-19年 秋冬コレクション

 1970年代からキャリアを持つ大御所的ブランドの「MARGARET HOWELL(マーガレット ハウエル)」は、メンズのテイストをウィメンズの服に持ち込んだ先駆者でもあります。今回のショーでは、ツイード生地のジャケットとラフなパンツを引き合わせるといった、上質感とワークウェアの融合を提案しました。黒っぽいベレー帽でミリタリー色も加えています。

MARGARET HOWELL 2018-19年 秋冬コレクション

 メンズとウィメンズを統合したショー構成にふさわしく、トラッド(伝統)とユーティリティー(実用)をねじり合わせ、性別をまたぐ装いに整えています。白い足首丈ソックスはスクールガール風のムードも漂わせていました。

変化し続ける街、ロンドンを感じる

BURBERRY 2018年 February コレクション (c)Courtesy of Burberry

 ファッションのありようを決める「約束事」とみなされてきた性別、シーズン、場面などとの向き合い方が変容しつつあります。

 今回のロンドンではこれらの前提条件を軽やかに踏み越えるクリエーションが相次ぎました。ファッションを取り巻く環境が様変わりする中、創り手側も旧来の「常識」にとらわれず、歴史を書き換える意欲を見せていたのは「変化し続ける街・ロンドン」らしいと映りました。

宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー・講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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