どのブランドにする? ロゴブームが復活

宮田理江のモード日和

BALMAIN(バルマン)=ブランド提供

 バブル期に盛り上がった、ブランドロゴをあしらった装いが復活しています。昔と違うのは、ウィットを秘めた、いたずらっぽい見せ方。単なるブランドの宣伝にとどまらず、おしゃれのスパイスやアクセントとしてロゴを面白がる感覚で、着姿を彩っています。

GUCCI(グッチ)

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 遊び心を宿した装いのトレンドを先導している「GUCCI(グッチ)」は、大き過ぎと見えるほどのサイズでブランド名をトップスの胸部分にプリント。長さが異なる2本のネックレスでも、「G」の文字が二重に交わる「ダブルG」のブランドロゴをペンダントトップに選び、サイズの異なるロゴが動きを演出しています。同じ装いの中にブランド名やロゴをあえて三つも盛り込むところにも、エスプリが感じられます。

LOEWE(ロエベ)

LOEWE(ロエベ)=ブランド提供

 これまでブランド名やロゴは目立ちすぎないよう、わりにひっそりとモチーフに使うものでしたが、今のトレンドは過剰なほどの見せ方です。スペインの老舗ブランド「LOEWE(ロエベ)」もブランド名とロゴをダブルでワンピースに施しました。朗らかな曲線でつづられたロゴが着姿にものどかなムードを漂わせています。2013年に新デザイナーを迎えた後、ロゴを変更。タイポグラフィー(文字を使った視覚的デザイン)の技法も生かして、モダンな新ロゴを作り上げました。

VERSACE(ヴェルサーチ)

VERSACE(ヴェルサーチ)=ブランド提供

 「VERSACE(ヴェルサーチ)」はもともとロゴの扱い方が巧みなブランドです。淡いピンクのTシャツに配したのは、ブランド名の7文字そのもの。サイズが風変わりで、身頃の正面からあふれるほど、左右に広がっています。「控えめなサイズ」が一般的だった従来の表現とは違って、オーバーなぐらいにはっきり打ち出すアレンジには、「ロゴで遊ぶ」という意識が感じ取れます。

BALMAIN(バルマン)

BALMAIN(バルマン)=ブランド提供

 押し出しの強さは、近頃のロゴブームに共通している特徴です。フランスの「BALMAIN(バルマン)」も白いTシャツの真ん中に特大サイズでロゴを置いています。かつてはトップスの胸に小さくロゴをあしらう「ワンポイント」のデザインが流行しましたが、今は過剰を恐れない、大胆でアイキャッチーなロゴ扱いがブームの主役。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での話題性を重んじる「インスタ映え」の人気も背景にありそうです。

FENDI(フェンディ)

FENDI(フェンディ)=ブランド提供

 ミラノブランドの「FENDI(フェンディ)」は「F」の文字を2個、上下逆さまに組み合わせた「FF」ロゴでおなじみ。こちらのルックではブルゾンとバッグを「FF」ロゴで埋め尽くしました。隙間がないほどにロゴを配したせいで、かえって模様のように見えるのが面白いところです。少し離れて眺めると、ロゴであって、ロゴではないといった、だまし絵風の着映えに仕上がっています。

LANVIN(ランバン)

LANVIN(ランバン)=ブランド提供

 本来は文字であるロゴを、まるで柄のように操ったのは、パリの老舗「LANVIN(ランバン)」です。ブランド名の6文字を、全身にびっしりとプリントして、「ロゴを着る」といった風情に整えました。文字サイズを上半身は小さく、腰から下は大きくして、着姿にリズムを加えています。アールデコ風のフォントを使って、アートな気分もまとわせました。真っ白いベルトを三重に巻いて、ロゴの赤、黒と交差させたのも、ロゴルックを引き立てています。

 本来、ブランドの宝とも言うべきロゴを、思い切ってアレンジする試みには、ファニーでポジティブな見え具合を好む、今のモード界の傾向が関係しているようです。同時に、ブランドの存在をあらためて印象づけたいという戦略もうかがえます。主張の強いロゴ使いは、インパクトや面白みという点で着こなしに抑揚をつけるのに役立ちます。 

 ラグジュアリーブランドならではのリッチ感もまとえるから、ごひいきブランドからの提案であれば、「ロゴをめぐる冒険」の誘いに乗ってみてもよさそうです。

宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー・講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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