次に来るのは「スーパーフェミニン」2018年春夏東京コレクション(前編)

宮田理江のモード日和

 2018年春夏シーズン向けの東京コレクションでは「ミックス」がキーワードに浮上しました。ランジェリー、ケミカル素材、スポーツテイスト、浮世絵柄など、様々な要素が持ち込まれ、見慣れた着姿を華やがせています。性別、年齢層、カルチャーなどをクロスオーバーする、踏み込んだアレンジが東コレ全体の奥行きを深くしました。ショーの構成・運営手法にも新発想が生かされ、東コレを軸にした国内最大級のファッションの祭典「Amazon Fashion Week TOKYO(アマゾン ファッション ウィーク東京)」の進化を印象づけました。

シャーリングやスリットで動きを

AKIKOAOKI(アキコアオキ)

 デコラティブ(装飾的)でスリリングな装いが相次いで打ち出されました。「AKIKOAOKI(アキコアオキ)」はブラトップを組み込んでフェミニンさを強調。

AKIKOAOKI(アキコアオキ)

 服のあちこちにシャーリングでひだを寄せたのに加え、大胆なスリット、二の腕のカットアウト(くり抜き)などで動きを出しました。透明なビニールのブーツに象徴されるケミカル素材が艶めきを添えています。東京ブランドの最新コレクションをすぐに予約できるEC(電子商取引)サイト「@SeeNowTokyo」で販売するという新たな試みも導入されていました。

◆バッグでアクティブな雰囲気 

YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)

  メタリックな輝き、ネオンカラーの華やぎが着姿をシャイニーに色めかせました。ハイテク素材も未来的なムードを忍び込ませています。「YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)」はスポーティーな質感と、エレガントなたたずまいを響き合わせました。体に巻き付けるようなボディーバッグやウエストポーチがアクティブな雰囲気を添えています。

YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)

  袖にボリュームを持たせる演出や、あでやかなロンググローブがレディーライクな風情。ベルトやコードを長く垂らすディテールは縦落ちイメージをまとわせています。

柄on柄でフレッシュに

TAE ASHIDA(タエ アシダ)

 

 ダイナミックな柄(モチーフ)が躍ったのも今回の東コレの傾向です。エレガントなテイストに定評のある「TAE ASHIDA(タエ アシダ)」もボーダー(横縞よこじま)柄やゼブラ模様、ボタニカル(植物)モチーフを大胆に配して、装いに動感を加えました。ストライプ(縦縞)シャツにボーダースカートを組み合わせた「柄on柄」のコーディネートはフレッシュな着映え。

TAE ASHIDA(タエ アシダ)

 

 トレンチコートの両袖を裁ち落としたようなスリーブレス・ジャケットは凜々りりしく端正。フェミニンなロングスカートとのマッチングで、性別にとらわれない「ジェンダーミックス」の着こなしに整えています。

花柄を上品に整えて

 
Hanae Mori manuscrit(ハナエモリ マニュスクリ)

  たおやかさやロマンチック感を前面に押し出す「スーパーフェミニン」が世界的なトレンドとして盛り上がってきました。「Hanae Mori manuscrit(ハナエモリ マニュスクリ)」はあでやかな花柄のプリントでドレスをカラフルに彩りました。ドレープやレースを組み込んで、貴婦人ライクな上品ルックに整えました。

Hanae Mori manuscrit(ハナエモリ マニュスクリ)

 シルキーな質感の異素材をミックスしたり、斜めに流れ落ちるようなアシンメトリー(左右非対称)を施したりして、着姿をドラマチックに演出。布の表情を引き出して、ドレスの情感を高めています。大人っぽさを増す東コレを象徴する、ドレス主体のランウェイでした。

見て欲しくなったら、すぐ買える

 ファッションショーの形式が拡張しつつあります。これまではショーでの発表から約6か月先に売り出すのが普通でしたが、発表したばかりの新作をショーの終了直後から販売する「シーナウ・バイナウ」式が東コレにも登場。

 セレクトショップを手がける企業のオリジナルブランド「UNITED TOKYO(ユナイテッド トウキョウ)」のランウェイショーでは17-18年秋冬と18年春夏、ウィメンズとメンズをミックスして発表しました。

UNITED TOKYO(ユナイテッド トウキョウ)=ブランド提供  
UNITED TOKYO(ユナイテッド トウキョウ)=ブランド提供

 左右で生地が全く異なる素材アシンメトリーや、浮世絵モチーフ・着物帯風トップスをあしらったジャポニズムルックで、装いも表情を深くしました。通常のショーは業界関係者しか観覧できませんが、顧客も招く開かれた形式がファッションショーの様変わりを示していました。

カジュアルブランドも参戦

 参加ブランドの幅が広がったのも、今回の東コレの目立った変化です。アパレル企業が展開するカジュアルブランド「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」が東コレに初参加。アウトドアやスポーツのテイストを取り入れた装いを提案しました。

GLOBAL WORK(グローバルワーク)=ブランド提供
GLOBAL WORK(グローバルワーク)=ブランド提供

  キーアイテムに選んだのは、ハイキング気分を帯びたポンチョ。両手を空けられるハンズフリー仕様のウエストポーチは、スマートフォンを扱いやすい点で注目の小物。ベルトやドローコード(引きひも)を長く垂らすアレンジも元気なイメージを呼び込んでいました。

 ネット通販会社大手のアマゾンジャパンがスポンサーになって以降、東コレのパワーアップが感じられます。従来のセオリーにとらわれない、チャレンジングなデザインが増えたのもその表れ。参加ブランドの顔ぶれが多彩になったのに加え、消費者・一般来場者との接点も広がって、ランウェイ上にとどまらない発信力が高まったように感じられました。

宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー・講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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