「アート」をまとう

パリコレ通信

 2018年春夏パリコレクションが閉幕した。今回は、絵画を大胆にデザインに取り入れるなど「アート」を意識した新作が印象に残った。新しいデザイナーが就任したブランドや今回から発表場所をパリに移したブランドもあり、活気のあるコレクションとなった。

クリスチャン・ディオール

 クリスチャン・ディオールのショーでは、「なぜ偉大な女性芸術家はいなかったのか」と書かれたメッセージTシャツが冒頭に登場した。その上で、戦後に活躍したフランスの芸術家、ニキ・ド・サンファルの作品をあしらったドレスやスカートを披露。女性が正当に評価されなかった時代に思いをはせながら、現代の女性にエールを送っているかのようだった。

コム・デ・ギャルソン

 コム・デ・ギャルソンのテーマは「3Dのグラフィティ(落書き)」。野菜や果物などをモチーフにした奇抜な肖像画で知られるイタリアの画家、ジュゼッペ・アルチンボルドと別のアーティストの絵をドレスなどに大胆にプリントし立体感を出した。漫画家、高橋真琴まことさんが描いた少女の絵も取り入れるなど彩り豊かな世界を展開した。

ルイ・ヴィトン

 ルイ・ヴィトンのショー会場はルーブル美術館。デザイナーがニューヨークの美術館で見た18世紀のフランス貴族の服から着想した新作を披露。ロココ調のジャケットをショートパンツに合わせ現代風にまとめた。

ロエベ

 ロエベは、「クラフト(工芸品)好きな女性の旅」というイメージを新作に投影した。ボタニカル柄のエスニック調ドレスは非対称。袖や裾に施されたフリンジ(房飾り)が手仕事の巧みさを感じさせる。多様な文化を楽しむ、しなやかな女性像を想起するショーだった。

幻想的、パワフル…新顔続々

ジバンシィ(左)、ラコステ(中)、トム・ブラウン(右)

 今回、ショーの開催地をパリに移したブランドなど「新顔」の登場にも注目が集まった。

 「より多くのメディアやバイヤーが集まるパリで、新作を披露したい」とニューヨークから発表場所を移したのは、トム・ブラウン。ジャケットに貝殻の刺しゅうを施し、人魚のようなシルエットに仕上げるなど幻想的な世界を表現した。

 ラコステもニューヨークから、ブランド創業の地・パリに舞台を移した。「来年迎える85周年を機に原点に返る」としている。

 新デザイナーのデビューも相次いだ。ジバンシィは、女性デザイナーのクレア・ワイト・ケラーさんを迎え、婦人服と紳士服の合同ショーを開いた。婦人服の多くは肩にボリュームを持たせたデザインで、シャープな力強さをたたえていた。クロエやランバンなども新デザイナーによるコレクションを発表した。

 (文・山村翠、写真・片岡航希)