「赤い靴」から始める秋ファッション

宮田理江のモード日和

© 2016 LOIN DERRIÈRE L’OURAL – FRANCE 3 CINÉMA – RHÔNE-ALPES CINÉMA

 夏真っ盛りですが、ファッションの世界ではもう秋。こんな季節の変わり目には、小物から入るのが賢い選択。特に足元の雰囲気を変えてくれる靴は目にとまりやすく、一足早い秋の訪れを印象づけてくれます。靴工場を舞台にしたフランスのミュージカル映画『ジュリーと恋と靴工場』(9月23日公開)では、靴にまつわる魅力的なストーリーが描かれています。劇中シーンを参考に、この秋らしい靴の履きこなしをつかんでいきましょう。

 就職難で苦労していた主人公の女性ジュリーがようやく見つけた勤め先は、閉鎖寸前の高級靴工場。若きオーナーは工場に見切りをつけ、閉鎖をもくろみます。リストラで仕事を失いそうな女性職人たちとジュリーは、工場のヴィンテージコレクションのなかの真っ赤な靴に出会います。コレクションを復刻した、その名も「戦う女」という赤い靴が彼女たちの運命を左右することに……。

今秋は鮮烈な赤がトレンドカラー

 この秋冬はあでやかでフェミニンな鮮烈な赤がトレンドカラーに浮上しています。靴の色はついつい保守的なチョイスになりがちですが、せっかくですから足元にレッドシューズを取り入れてみては。秋冬からはダークカラーの服を着る機会が増えますが、靴にはっきりレッドを迎えれば、全体のフェミニン度がアップ。足元から鮮やかな色が立ち上るので、装い全体も軽やかに見えます。

 今季は、つやめいた質感も人気です。ベルベットやベロア、サテンなどの、光沢を帯びた生地の服が脚光を浴びます。靴につややかさを求めるなら、今回登場した「戦う女」のようなエナメル(パテントレザー)加工の靴が選択肢になります。映画の中でも描かれている通り、フェミニンでありながら、ローヒールで丈夫なエナメルシューズは足がスイスイ前に出て軽快に歩けます。

愛着シューズに新顔を

 靴作りの製法に誇りを持つ職人たちが心を込めて靴をこしらえる姿からは、靴への愛情や、足を守る靴の大切さがあらためて伝わってきます。「おしゃれは足元から」と古くからいわれる通り、着こなしの仕上げやムードメーカーといった役割を担う靴だから、デザインや履き心地の面で頼りになる「愛着シューズ」を何足か持っておきたいものです。

 「戦う女」は赤とつややかさをダブルでまとっているので、足元から元気がもらえそう。紳士靴ライクな形をしている点も、性別にとらわれない「ジェンダーレス」の着こなしになじみます。マニッシュな顔つきに、つやめいたレッドというジェンダーミックスが新鮮。パンプスやハイヒール、ブーツなど、型通りのモデルを選んでしまいがちですが、たまには「買い足し」ではない新顔をシューズボックスに迎え入れると、着こなしにも変化が生まれます。

 『ジュリーと恋と靴工場』 
9月23日(土)から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかで全国公開

写真:© 2016 LOIN DERRIÈRE L’OURAL–FRANCE 3 CINÉMA – RHÔNE-ALPES CINÉMA

宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー・講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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