浴衣の上品な着こなし 今年は伝統柄を大胆に

爽やかなよろけ縞の浴衣は、花柄が苦手な女性にもぴったり

 夏のお出かけ着として、すっかり定着した浴衣。花火大会や祭りだけでなく、観劇、女子会、小旅行など、多くの場面で気軽に着られるようになっている。浴衣を上品に着こなし、夏を楽しみたい。
 高島屋呉服担当セントラルバイヤーの伊藤ゆ香さんは「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に、浴衣を着た写真を投稿する人が増えている。このため、今年は伝統的な色合いや柄を基調としながらも、『SNS映え』するような大胆なデザインの浴衣が多い」と話す。
 伊藤さんに、今年らしい浴衣を紹介してもらった。

斬新なデザインが目を引く格子柄(右)やダリアをあしらった(左)銘仙の浴衣(横浜市内で)=奥西義和撮影

銘仙やよろけ縞に注目

 まず伊藤さんが薦めるのが、大正時代から昭和初期に人気を集めた絹織物「銘仙めいせん」から着想した浴衣だ。銘仙は北関東地方を中心に生産され、斬新なデザインとカラフルな色合いで当時の若い女性の普段着やおしゃれ着として流行した。「元々着物の柄だったので、浴衣でも上品できちんとした雰囲気が漂う。大人の女性にぴったりです」

銘仙柄から着想し、デザイナーの前島淳也さんが手がけた水玉模様の浴衣

 例えば、赤や青を基調にした格子柄の浴衣は、レトロでかわいらしい。100年ほど前の銘仙柄の中から、大妻女子大学(東京)の学生たちが好きなデザインを選んで復刻し、高島屋横浜店、日本橋店などで販売している。
 これに、淡いピンクの「へこ帯」を合わせた。「へこ帯は子ども用というイメージがありますが、大人が取り入れると、優しい印象になります」と伊藤さん。リボン結びをしただけでも様になるため、初心者にお薦めだという。硬い素材の帯に比べ、苦しくなりにくいのも利点だ。
 白地に青い大きなダリアをあしらった浴衣も、銘仙柄の一つ。「白地の浴衣は、清涼感や若々しさが演出できると人気です」と伊藤さん。黄色い帯は「半幅帯はんはばおび」といい、その名の通り、幅が通常の帯の半分ほどで結びやすい。
 銘仙柄以外では、伝統的な模様の「よろけじま」の浴衣はどうだろうか。よろけ縞は縞柄の一種で、縦の線が蛇行しているような模様のこと。「縦のラインが強調され、スタイルがよくみえます」

鮮やかな七宝焼の帯留め。アクセサリー感覚で選ぶのも楽しい

 浴衣と帯の色の組み合わせで悩む人も少なくないだろう。伊藤さんによると、薄い緑やブルー、ピンク系の帯なら、あまり浴衣の色柄を選ばないという。「浴衣と同系色の帯でシックにまとめてもいいでしょう」。アクセサリー感覚で帯締めや帯留めを選ぶのも楽しい。
 最近は、浴衣に帽子を合わせたり、着丈を少し短くしてくるぶしを見せて着こなしたりする人もいる。伊藤さんは「ファッションの延長線上として、自由に楽しんでください」と話している。(生活部 山村翠)

カラフルな下駄も彩り 新宿で個展

 浴衣といえば、下駄げたも欠かせない。下駄職人、鈴木千恵さんの個展「アートな下駄 鈴木千恵展」が、7月5日から11日まで、東京・新宿高島屋で開かれる。
 鈴木さんは下駄の産地として知られる静岡市の出身。地元の郷土工芸品「駿河塗下駄」の名人に弟子入りし、腕を磨いた。シンデレラのガラスの靴のような透明感のある作品(非売品)など、ユニークな下駄が展示されるほか、販売も。

伊藤ゆ香
伊藤ゆ香 (いとう・ゆか)
百貨店呉服担当バイヤー

 1973年、東京都生まれ。大学卒業後、95年に高島屋入社。横浜店で呉服の売り場マネジャー、婦人服のシニアマネジャーなどを務める。2016年から高島屋全店の浴衣や振り袖といった呉服全般の企画、買い付けなどを担当。