5月から、多くの職場でクールビズが始まった。快適さを追求しつつ、カジュアルになりすぎない装いは意外と難しい。ならば、仕事用の服を複数のパターンで固定する「制服化」をしてはどうだろう。服選びの悩みから解放され、気持ち良く働けそうだ。
女性のクールビズには、ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外すといった男性のような定型がない。肌を露出しすぎたり、薄手で下着が透けたりするのも、仕事着としては不適切だ。
「最適なクールビズを制服化してしまえばいい」と提案するのは、スタイリストの河井真奈さんだ。制服化とは、持っている洋服の中から、会議や会食などその日の予定に合った上下を組み合わせ、それを「制服」のように定番化することだという。「制服化すればクローゼットもスッキリし、毎朝迷う手間も省けます」
通常は週5日勤務なので5パターン用意する。「シャツと、スカートやズボンなどのボトムスがそれぞれ4、5着あれば、ワンシーズンを過ごせます」と話す。ジャケットやカーディガンを上手に合わせれば、同じ服を何度も着ているようには見えないという。
具体的な1週間の着こなしを教えてもらった。まずは1日目。重要な会議があると想定し、白いジャケットに紺のパンツ、白紺のストライプのブラウスで、かっちりした装いにした。

「ジャケットは襟とボタンがなく、軽やか。裏地がなく、通気性も抜群です」と薦める。パンツは九分丈で、こちらも涼しげだ。通勤時の日よけ用に、紺と白の2色の日傘を合わせた。「白は見た目も爽やかで、様々な色に合わせやすい。クールビズの定番です」
2日目は、仕事帰りに食事会があるとの設定で、少し華やかなグリーンのワンピースを選んだ。「丈は膝下丈で、フレアスカートになっており、裾が広がって風通しがいい」と話す。薄手の淡いピンク色のカーディガンを肩に掛け、上品にまとめた。アフターファイブは上着を脱ぎ、大ぶりのアクセサリーを付けると、ぐっと華やかになる。
3日目はデスクワーク中心の日と考え、オフホワイトのノースリーブブラウスとワイドパンツの上下おそろいに茶色のカーディガンを羽織った。「スカート感覚ではけるワイドパンツは風通しも良く、ストッキングなしでも過ごせる。ポリエステル素材で、長時間座ってもシワになりにくい」

4日目と5日目は、ブラウスにそれぞれ旬のトレンドを取り入れた。まず白いブラウスに、清涼感のある青いタイトスカートを。ボリュームのあるラッフルスリーブがアクセントになっている。翌日は腰と袖にスリットが入ったブラウスに、1日目にはいた紺のパンツを組み合わせた。
「袖にボリュームがあると、二の腕が細く見える効果もある。スリット入りのブラウスは、前身頃をパンツの中に入れると、きちんとした印象になります」と河井さん。
涼しげに見せるには、色遣いも大切だ。寒色系でも、暗すぎたり濃すぎたりすると重々しくなるので、明るく淡い色合いを中心に組み立てよう。(斉藤保)
素材進化で便利
アパレル業界もクールビズに力を入れている。大丸東京店によると、近年は素材も進化し、手洗いや洗濯機で洗える商品も増えているという。
婦人服担当の鈴見友明さんは「通気性の良い麻も、ポリエステルなどと組み合わせ、シワになりにくくなっている。機能性が向上したおかげで、薄着でなくても快適に過ごせるようになり、ベーシックなビジネススタイルが見直されてきています」と話している。
◎取材協力 リンク・セオリー・ジャパン、エストネーション