NYで特別展、世界が尊敬する川久保玲さんはどんな人?

   日本の女性ファッションデザイナー、川久保玲さんの展覧会が5月4日から、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されます。同美術館の服飾部門で現役のデザイナーを取り上げるのはイヴ・サンローランに次いで2人目。それが日本人なのですから、まさしく快挙です。

 川久保さんは1942年生まれの74歳。慶応大学を卒業後、旭化成をへて、フリーランスのスタイリストとなり、73年に「コム・デ・ギャルソン」を設立。以来、社長兼デザイナーとしてブランド「コム・デ・ギャルソン」を率いています。

 1981年にパリで初めてショーを行い、モードの頂点であるパリコレクションの常連となりました。年2回のパリコレで披露する新作は、しばしば論争の的になり、既存の価値観を揺さぶり続けています。

3月にパリで記者会見に臨んだデザイナーの川久保玲さん(左から2人目)、米国ニューヨークのメトロポリタン美術館キュレーターのアンドリュー・ボルトンさん(同3人目)ら。

 進出当初の作品は、タブーとされていた黒を多用し、穴のあいたようなニットに、左右非対称で裾は切りっぱなし。華やかでゴージャスなドレスが主流の西洋の伝統や美意識とはかけ離れたものでした。一部の保守メディアなどは、その作品を「原爆服」と表現し、激しく批判しました。

 しかし、既成の概念にとらわれない姿勢が、逆に欧米の感性を刺激し、今ではデザインを勉強する学生の「尊敬するデザイナー」として常に名前が挙がる存在になっています。競争が激しいファッション界では、デザイナーや経営者の交代は当たり前。そんな中、ブランドの創業者がデザイナーと経営者の二足のわらじをはき、世界で存在感を示し続けるケースは極めて珍しいといえるでしょう。 

 川久保さんが発表する服は前衛的で、時には「こんな服は着られない」と思う時も。インタビューに応じる機会は極めて少なく、写真を撮られるのも嫌い。ジャーナリスト泣かせの人でもあります。

 それでも支持され続けるのは、新しいものに果敢に挑戦し、ぶれない姿勢を貫き通しているからでしょう。ポップアップストアや他企業とのコラボなどでも先駆的存在です。

 日本のデザイナーとはいえ、決して分かりやすい「日本らしさ」はありません。しかし、初期から日本の素材を使い続けています。機屋はたやとよばれる繊維メーカーや産地と協力して、日本発のオリジナルの生地を使っています。

 既存の枠にはまらないものを生み出してきたという点が、今回の展覧会のタイトル「Rei Kawakubo/Comme des Garcons:Art of the In-Between」にもつながるのでしょう。(宮智泉)

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 展覧会は5月4日から9月4日まで。4日の一般公開に先駆けて、1日には内覧会が行われます。また同日夜には「MET GALA」と呼ばれる超豪華なガラパーティーが開かれ、ハリウッドセレブや有名ファッションデザイナーたちが集まります。

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