東京からモードを発信する、2017―18年秋冬の「アマゾン ファッション ウィーク 東京(東京コレクション)」が3月20~25日、渋谷ヒカリエをメイン会場に開催されました。
インターネット通販大手の「アマゾンジャパン」が冠スポンサーで、新鋭デザイナーが加わり、ショーの形も進化しています。前編では見せ方が新鮮だった6ブランドを紹介します。
AULA(アウラ)

今回から始まった消費者参加型のファッションショーの形が「TOKYO BOX vol. ZERO」。バイヤーや関係者だけに新作を披露する“業界に閉じた”これまでの形ではなく、顧客やファンを招く「開かれたショー」です。複数のブランドが参加して、会場は新宿駅に直結したイベントスペース「LUMINE 0(ルミネゼロ)」。ショーの模様はライブ配信もされ、リアルとデジタルを交差させる試みと言えそうです。
そこに参加した「AULA(アウラ)」は、川島幸美デザイナーのブランド。今シーズンは「ダイバーシティー(多様性)」を意識して、年齢や性別にとらわれないスタイリングを提案。デニムとツイード、スーツ風のセットアップ(上下そろい)とガーリーなブラトップといった、異なる生地や雰囲気の組み合わせも目を引きました。
GROWING PAINS(グローイング ペインズ)

DJやモデルとして世界的に有名なマドモアゼル・ユリアさんは、アパレルブランド「GROWING PAINS(グローイング ペインズ)」のデザイナーの顔も持っています。成長が期待される3組のデザイナーを、主催者側が選んだ新プログラム「AT TOKYO(アット トウキョウ)」で、初のランウェイショーを開催しました。
舞台に選んだのは、渋谷・道玄坂のクラブ。照明をぎりぎりまで落とし、ミリタリーとセクシーを交差させた作品にふさわしく、ダークでスリリングなムードを醸し出していました。
House_Commune(ハウスコミューン)

ランウェイショーに初挑戦するブランドが相次いだのは、今回の目立った変化です。流通ビジネスを揺さぶるアマゾンならではの、しがらみにとらわれないアプローチが、新鋭の呼び込みにつながっているのかもしれません。
下中美穂子ディレクターが手がける「House_Commune(ハウスコミューン)」は、虎ノ門のホテル「アンダーズ東京」の最上階52階を会場にチョイス。大人の女性にふさわしいエレガンスに、ストリートの雰囲気を組み合わせてみせました。
AKIKOAOKI(アキコアオキ)

ファッションビル運営の「パルコ」は、若手デザイナーを支援するプロジェクト「FASHION PORT NEW EAST(ファッション ポート ニュー イースト)」を展開しています。そこに参加したのは、「AKIKOAOKI(アキコアオキ)」の青木明子デザイナー。ショーではモデルが8の字を描いて歩き、様々な角度から作品を眺めることができました。
ランウェイ構成と同じく、作品も既成の「服」を解体するかのよう。トレンチコートやビスチェを分解したり、シャツとプリーツスカートを融合させたりしました。
TAAKK(ターク)

東コレに初参加した森川拓野デザイナーの「TAAKK(ターク)」は、主会場のヒカリエのホールとホールをつなぐ通路をランウェイに使い、ゲリラ風のショーを演出しました。座席がないスペースなので、来場者は全員が立ち見。モデルとの距離が極めて近くなり、ストリート気分を宿した作品を一段とリアルに感じ取れました。
モデルも“多国籍”で、ボーダーレスな雰囲気。デニム、光沢感のある生地、ニット、ファーなど、風合いの異なる材質を組み合わせて、多様性の魅力を表現していました。
Chika Kisada(チカ キサダ)

参加デザイナーの幅の広がりに合わせ、作り手が自身の経歴や持ち味を前面に押し出す動きが広がりました。「Chika Kisada(チカ キサダ)」の幾左田千佳デザイナーは、自らのバレリーナ経験を生かして、バレリーナの衣装「チュチュ」を思わせる薄手のチュールを使い、ロマンチックな表情を服に加えています。
チュールを重ねたブルゾンやパンツは、どこかはかなげな風情。その一方で革も使い、クラシックバレエとパンクロックが調和するかのようなアレンジに仕上げました。
海外からのエントリーも
若手や新顔の参加が増えたのは、東コレにとって歓迎すべき傾向と言えるでしょう。日本以外からのエントリーも相次ぎ、グローバル化が加速。クリエイターの厚みが増した東コレは国際都市・東京ならではの発信力をますます強めてきたようです。