ファーをちょっと賢く着こなすために

宮田理江のモード日和

 格上のムードを漂わせる「ファーのおしゃれ」がトレンドになっています。人工ファーの選択肢が広がってきたことも追い風になって、有力ブランドから新たなスタイリングが相次いで提案されています。年末年始のパーティーなどにも向くので、着こなしの引き出しを増やしておきましょう。

VALENTINO(ヴァレンティノ)

VALENTINO(ヴァレンティノ)

 ファーはコートのイメージが強いですが、近頃はショート丈の羽織り物が多く提案されています。特にコンパクトなケープやボレロは重たく見えにくいので、取り入れやすいのではないでしょうか。全身を覆ってしまわないから、レイヤード(重ね着)も組み立てやすくなります。

フェミニンなワンピースに重ねると、ファーの風合いが際立ちます。ショルダーバッグを斜め掛けにしてカジュアルさを演出すれば、手持ちのワードローブと組み合わせやすくなります。ファーを仰々(ぎょうぎょう)しく扱わないで、普段使いするのが今のまとい方。年末年始のお出かけにも参考になるスタイリングです。

LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)

LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)

 “主役”的なファーコートはゴージャス感が強いので、あえてストリート風に着こなすと、出番を増やせます。

 アウターで隠れない靴は全体のムードメーカー。レースアップ(編み上げ)ブーツならメンズテイストが加わって、全体がこなれた着姿になります。スニーカーを合わせるのもカジュアル感が出ておすすめです。

 普段着ウェアの代表格と言えるジーンズに重ねても、ファーコートは意外な相性の良さを発揮しますし、タートルネックセーターやワイドパンツにもなじみます。ストリートルックがあまり得意ではない人にも、こういった上品系ミックスコーデなら、割と試しやすいでしょう。

LANVIN(ランバン)

LANVIN(ランバン)

 ショール、ストールなどの「掛け巻き物」はファーを使った定番アイテム。普通に両方の肩へ掛けると、見慣れた感じにまとまりがちですが、片方の肩に掛けるだけで見え具合が様変わり――ぐっとエレガントに映ります。

 パーティーでは会場へ入る前にアウターと一緒に預けてしまうことが多いのですが、掛け巻き物をドレスやブラウスに合わせれば、華やかな着姿に仕上がります。ふわふわしてつややかなファー特有の質感が優美なムードを寄り添わせてくれるので、小物類をピンポイントで投入するアレンジは、使いこなす“メリット大”です。

DRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)

DRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)

 「羽織る」「掛ける」が主なまとい方だったファーですが、近頃は取り入れ方のバリエーションが広がってきました。たとえば、写真のようなたすき風の斜め掛け。身頃をダイナミックに横切るため、装いの主人公になってくれます。ひとつながりの輪っか状になっているので、背中の側の見え具合もとてもドラマティックです。たっぷりした厚みがあり、立体感も生まれます。

 最近は人工ファーの技術が進んで、目新しい柄や模様を写し込んだアイテムも増えてきました。両肘から先を差し込む円筒状の「マフ」も復活。ファーを部分的にあしらった靴やバッグも、冬コーデを華やがせてくれます。

カジュアルアイテムを上品に

 人工ファーは素材面でめざましい進化を遂げていて、これまでの「フェイクファー」を超えるリアルな風合いが実現できるようになってきました。染めやカッティングもしやすいためデザインの幅も広がっており、ラグジュアリーブランドも相次いで使うようになっています。動物愛護の点からも取り入れやすく、軽い着心地や、手入れの楽さもうれしいところです。

 程よく目立ってくれるファーアイテムを取り入れれば全体が上品にまとまるので、手持ちのウェアを賢く着回せます。ジーンズやセーターといったカジュアルなアイテムに合わせ、気取らない雰囲気にまとめるアレンジは、この冬もっとも“試し甲斐(がい)のある着こなし”と言えそうです。

※写真はいずれも2016-17秋冬コレクションから(沼田光太郎撮影)

宮田理江
宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト

 ファッションブランドの販売員としてキャリアを積んだ後、バイヤーやプレスも経験してジャーナリストへ。海外コレクションのリポートや次シーズンのトレンド予測、着こなしのアドバイスといった原稿執筆のほか、セミナー講演なども手掛けている。著書に「おしゃれの近道」(学研パブリッシング)など。

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